1990年代より同じ大阪で生き抜き、周りの誰もが固い絆でつながった仲間だと思っていた、レゲエDeeJayの「NG HEAD(エヌジー・ヘッド)」と「JUMBO MAATCH(ジャンボ・マーチ)」。
このふたりが、まさかの決裂!
なんとJUMBO MAATCHが、NG HEADに対してディスチューンを公開したのです。「NG HEADは2000年始めで止まってる。俺にとって兄貴のようなあいつだけど、晩節を汚さないでくれ。俺がお前を完結させてやる!」……と。
それに対してNG HEADは、すかさずアンサーソングで反撃。JUMBO MAATCHは攻撃を止めることなく、さらにチューンをぶち込み、まさにリリカルウォー(リリック戦争)の様相が繰り広げられています。
JUMBO MAATCH「兄貴同然のあいつは、2000年始めで止まってる」
JUMBO MAATCH – Kill mi Brother
汚すな晩節、俺がさせてやる完結。 兄貴同然のあいつを殺すドラマ。無敵面したあいつを倒すのは、俺以外には似合わない。
NG HEAD「今からお前を殺すけど、言い残した事はもうないか?」
NG HEAD – Trigger Happy
言葉のギロチンが、奪い去るんだその命。13階段を登ったら、その先は断頭台。 あぁ〜、またひとり未亡人に。
JUMBO MAATCH「言葉のGUN? 大したこと言ってない、ただの韻遊びでしょ」
JUMBO MAATCH – NG FREDO
俺は、具体的、的確、痛いとこ突いてく、西の殺し屋の王。 なんちゃって “BAD MAN” NG HEAD a go dead. Bombohole.
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一体どうなるのか? このまま黙ってはいないと思われる、NG HEADの次のアンサーソングが気になるところです!
【追記】NG HEAD「お前のままごと遊びに付き合ってやるのはこれっきり」
NG HEAD – SAYONARA JUMBO MAATCH
ビーフごっこやプロレスだと思われんのは勘弁だし。安モンが土足で上がれるほど甘ないぞ、このHard Core Shit!!
【追記2】決戦目前インタビュー NG HEAD vs JUMBO MAATCH
クラッシュ開催を目前に、NG HEADとJUMBO MAATCH、それぞれへのインタビュー動画が公開されました。
JUMBO MAATCH「やりにくい相手であり、やりやすい相手。あの人のクラッシュをこれまで見てきて、総合力は高いけど怖くはないかな」
NG HEAD「間違いなく、今まで俺がDJクラッシュをやらしてもらってきた相手のなかで、間違いなく最強だと思う。アメリカ映画のケンカみたいに、一発ずつ交互に殴り合うみたいなのがずっと続くやろな。最高の準備をしときたいですね。アスリート的に言うと」
もちろんこの日、僕も東京から大阪へ駆けつけますよ! 目の前でしっかりと見届けに行きます!!
このふたり本気なの? 本気なんです
さて話は変わりますが、僕は昨年2017年暮れ、あるレゲエ関係者と渋谷のバーでサシ飲みをしていました。そのとき、「JUMBO MAATCHとNG HEADが、DeeJayクラッシュをすることになった」という話を密かに聞いたのです。
えっ、なんでこの二人が殺し合いを!?
僕はとても驚きました。なぜなら、この記事の冒頭にも書いたように、同志ともいえる二人だからです。戦いに至った理由は、先の曲を聴けばわかると思うので割愛します。
そのバーカウンターで更に、「彼らの決闘にふさわしい場所を用意した」という話も聞きました。
それが、このイベント。2018年3月31日、大阪のZEPP NAMBAで開催の「COMBAT」。この日、JUMBO MAATCHとNG HEADは、ステージ上でリリックでの殺し合いをすることになったのです。
COMBAT 公式紹介文を書かせて頂きました
さらに話は続きます。
自分ごとになりますが、NG HEADとJUMBO MAATCHのタイマン決定に戦慄する僕に対して、「COMBATを世に伝える文章を書いて欲しい」という依頼を頂いたのです。
大変恐縮しながらも、受けさせて頂きました。現在、フライヤーや公式サイトなどに掲載されています。
内容は、以下の通りです。
DeeJay クラッシュの基本と楽しみ方
ジャマイカが発祥のDeeJayクラッシュは、リリックでアーティストを殺すイベントだ。
歌う曲は、持ち歌が基本で、歌詞を変えたり、フリースタイルを組み合わせたりし、相手を威嚇・攻撃する。リディムは皿(レコード)ではなくバンドが演奏するのが本格的なスタイルで、DeeJayがバンドを操り、バンドはDeeJayを鼓舞する。この辺りのスキルも見モノとなる。
対戦中は、両者がステージに立ち続け、ノンストップで戦いが繰り広げられる。
制限時間を設けている場合であっても、圧勝だったり、観客が暴動に発展したりしそうなときは、司会が中断させることもある。
また、最後に勝者のジャッジはつけない。DeeJayクラッシュはプロセスを楽しむものであり、イベント終了後に「どっちが勝った?」と見た者の間で話題にするのがジャマイカ流だ。
たとえば、Ninjamam vs Shabba RanksではNinjamamが圧勝し、Ninjamam vs Super Catは名勝負となった。Vybz Kartel vs Mavadoは、どちらも引かない激しい戦いで、後日、住人をも巻き込む地域間抗争にまで発展し、ギャングのボスが両者を和解させた。
また、DeeJay クラッシュはイベント当日と、イベント後が盛り上がるだけではない。対戦が決定した瞬間から、両者の動きを注視するもの面白い。お互いが他のイベントで牽制しあったり、相手をDISする曲を出したりするからだ。あなたがこのフライヤーを手に取った、今この瞬間より、両者の行動をチェックしてみると良いだろう。
そしていよいよ迎える決戦当日。意味込みが最高潮に達した両者が、ステージで火花を散らし合うのだ。
無敗の王者 NG HEAD vs 武闘派の雄 JUMBO MAATCH
ついに山が動いた! ハードコア路線を貫いてきた大阪の筆頭DeeJayがクラッシュ。日本史上最高峰の対戦カードが決定だ!
DeeJayクラッシュって何? それって面白いの? レゲエのイベントに行くなら、やっぱりサウンドのプレイで踊ったり、アーティストのショーで盛り上がりたい。一対一の戦いの為に、なぜZEPP NAMBAなんて大きな会場を用意するのか……。
熱心なレゲエファンにとっては愚問だが、ここはあえて書かせて欲しい。
レゲエのイベントに足を運んでいる方なら、「サウンドクラッシュ」についてはよくご存知だろう。サウンドマンが曲やMCを駆使し、音で戦うイベントのことだ。これは日本のMighty Crownが世界の覇者として、およそ20年間頂点に立ち続けている。
それに対して「DeeJayクラッシュ」は、アーティスト同士の決闘となる。 ふたりのDeeJayが、リリックを武器に殺し合いを繰り広げるのだ。本場ジャマイカにおけるDeeJayクラッシュは、時代によって覇者が移り変わっている。
まず、DeeJayクラッシュのルーツを紐解いてみるとしよう。
時代はジャマイカの1980年頃にさかのぼる。この頃のサウンドはラバダブセットといって、サウンドシステム、セレクター、MC、そしてDeeJayやシンガーが、クルーとして一緒に活動をしていた。そのサウンドクルー同士のクラッシュの中で、歌い手同士も競い合ったのだ。
1980年代後半に入ると、DeeJayクラッシュが単体として注目され、ビッグダンス「STING」内でアーティスト同士のクラッシュが行われるようになった。1980年代末のPapa San vs Lt. Stitchie。1990年代のNinjaman vs Shabba Ranks、Ninjaman vs Super Cat、Bounty Killer vs Beenie Man。そして2000年代のVybz Kartel vs Mavadoなど。
戦いに挑み、勝つことで、そのDeeJayは恐れ知らずの強者としてジャマイカ中でリスペクトされることとなる。
さて、そんなDeeJayクラッシュの歴史を辿ってみると、ここ日本においては驚くべき状態であることがわかった。日本でもジャマイカとほぼ同時期にDeeJayクラッシュが勃発していたのだが、当時から《20年以上一度も負けたことがないDeeJay》がいたのだ。1991年、17歳の若さで大阪のサウンドクルーのDeeJayとしてレゲエシーンに現れ、巧みなマイクさばきとバッドなリリックで一躍注目の的となった。その者に対し、全国のベテランから若手まで数々のDeeJayが戦いを挑んだPAPA B、H-MAN、RUDEBWOY FACE、さらには「どっからでもかかってこんかいっ!」と、次々とやってくるDeeJayを一蹴する百人組手も行った。しかし誰も、彼を叩きのめすことができなかったのだ。その無敗の王者の名を、NG HEADという。
もはや誰もNG HEADを倒すことができないのか?
そんな中、NG HEADと同じ時代を生き抜いてきた、JUMBO MAATCHが名乗りを上げた! この対戦カードに動揺したレゲエファンもいるだろう。 なぜなら、両者はほぼファミリーと言っても過言ではない関係だからだ。ふたりはかつて、TOKIWAとして同じクルーで活動していたこともある。その後も、両者は同じステージでパフォームしたり、コンビネーションチューンを歌ったりし、その関係は兄弟に近い。
そんなふたりが戦うとは誰が予想しただろうか。 jUMBO MAATCHは、侠気にこだわったラガな生き様を図太い声で伝えるMighty Jam Rockのメンバー。2017年には、“危険球”の意味を持つBEAN BALL RECORDSを自身のレーベルとして設立し、その攻撃性にはさらなる磨きがかかっている。
NG HEADとJUMBO MAATCHの果し合い。この戦いのステージでリディムを繰り出すバンドは、両名を熟知する大御所HOME GROWNに決まった。そして、この最高峰の決闘にふさわしい最高の会場が用意されたのだ。
JUMBO MAATCHは、無敗の王者NG HEADの牙城を崩すことができるのか!?
■開催日時
2018年3月31日(土)
Open 17:00 / Start 18:00
■会 場
ZEPP NAMBA
大阪府大阪市浪速区敷津東2-1-39
■公式サイト
deejayclash-combat.com
【追記3】COMBAT結果レポート NG HEAD vs JUMBO MAATCH
COMBATを観戦するため大阪へ行って来ました! 僕が目の前で見たことと、イベントから受けたインパクト、そしてお二人のことについて。
DeeJayクラッシュが始まる前のフロアを盛り上げているのは、2クラッシュサウンド。東のYARD BEAT、西のBURN DOWN。熱い!
後半のバーンダウンは、TOKIWA時代のPUSHIMダブからスタート!! #COMBAT_CLASH pic.twitter.com/leidPq00RS
— 北野 啓太郎@フリーランスライター (@KeitaroKitano) March 31, 2018
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