先日、アメリカでは音楽アーティストが得る収益の50%以上がストリーミング(Apple Music、Spotifyなどの定額制音楽聴き放題サービス)になった、という記事を書きました。
音楽の歴史を振り返ると、かつては生演奏でしか聴けなかった音楽が、レコードの発明で家でも聴けるようになり買う物になりました。その後、ソニーがウォークマンを開発し、音楽がどこでも聴けるようになりライフスタイルが大きく変化。さらにCDの発明で、より手軽に扱えるようになり市場はさらに拡大しました。そして、iPodやストリーミングの時代へと移り変わって行ったのです。
音楽は、このように「より便利に」「より手軽に」なることで、普及してきました。
が、しかし。
ここ最近のストリーミング配信に関しては、少し不満があります。
莫大なコレクションを常に持ち運べるという歴史上かつてない便利さ・手軽さが実現した訳ですが、なにせ量が多すぎで探せない。「とりあえず聴いてみて、自分で判断すればいいじゃない」という意見もあるかと思いますが、数百万曲の中から選べるでしょうか?
最初は好きなアーティストや懐かしいアルバムを聴きまくったとしても、そのうちに行き詰ってくる。「はて、次は何を聴けばいいのか?」……と。
本気で音楽が好きな、音楽ライターの出番です!

そこで、音楽ライターの出番です。
CDショップであれば、商品につけられて手書きポップを参考にしたり、店員さんと雑談したりしながら、自分に合うアルバムを探すことができました。でもスマホが相手だと、ポップないし、店員もいません。曲の聞きどころや魅了をしっかりとユーザーに伝えることができる音楽ライターが必要になってきているのです。
かつて、音楽ライターの仕事は、広告に絡むのもが頻繁にありました。レコード会社と雑誌やフリーペーパーなどメディアとの関係性で、広告出稿と記事掲載がセットになっている場合が多くあったからです。(もちろん、そればかりではないですよ!)
しかし、ストリーミング配信が世の中に広がってくるにつれ、少し様子が変わって来ています。
ストリーミングは、再生回数に応じてアーティストなどに使用料が支払われる仕組みです。新譜ばかりに注目するのではなく、新作・過去作関わらずたくさん聴いてもらいたいのです。ユーザーとしても、新旧・ジャンル関係なしに良い曲をたくさん聴きたいですよね。
そこで、新作・旧作を織り交ぜながら音楽の楽しさを伝えることができる知識豊富なライターが必要と言えるのです。
これは新譜だけに焦点を合わせて書くことよりも高度です。たとえるなら、ライターのDJ化。さまざまな時代の曲を掛けて盛り上げることができる、DJのような幅広い見地が必要といえるでしょう。
ストリーミング時代は、音楽ライターとしても新しい時代の幕開けだと感じています。
レゲエシーンでは、三十代ライターSOLO BANTONがメキメキ活躍!
僕が以前より注目している、音楽ライターのSOLO BANTON(ソロバンタン)。
注目と言っても、僕はかつて彼のことが苦手でした。
文章にトゲがあるし、ちょっと上から目線だし、なにより僕が好きだった先輩・オザキングさんにネット上で喧嘩を仕掛けている様を見て、「あー、こいつやっぱり無理や」と思っていました。
しかし、「嫌い」と「気になる」は表裏一体と言いますか、イラッとしながらもソロバンタンのことが気になっていたのです。
7、8年前、僕がROCKERS channelの編集長をしていた頃、彼の音楽への熱心さに惹かれ、初めて仕事を依頼しました。レゲエアーティスト、SING J ROYさんが出演するイベントの取材です。
打ち合わせのためSOLO BANTONと電話で話してみると、予想に反して素直。仕事に関しても、期待以上に一生懸命取り組んでくれて、丁寧な記事を書いてくれたのです。
それをきっかけに、僕のなかの「ソロバン嫌い」が氷解し、以来、長らくの付き合いをしています。
ソロバンことSOLO BANTONは、自身のブログ「ラストダンスはブンバイバイ」の運営に加え、ウェブマガジンROCKERS channelでの連載、雑誌WOOFIN’、MUSIC MAGAZINEでの執筆などを行なっています。さらに先日は、Mighty Crown主催のイベント「ラガトーーク!」への登壇なんてこともありました。
そして先ほど、最新号の月刊誌「WOOFIN’」を見ていると……

な、な、な! なんと、Mighty Crown ファミリーの連載ページに、マスタ・サイモンさんとソロバンがツーショットで掲載されているではないですか!
サイモンさんからも気に入られるとは流石です! ライターとしてバーンと箔が付きましたね。かつては嫌いだったSOLO BANTONですが、もはや僕の手の届かないところへ駆け上ってしまったようです……。嗚呼。
レゲエが好きな方は、ぜひSOLO BANTONの記事を読んだり、Facebookをチェックしたりしてみてください。音楽をもっと楽しむための指標や知識がきっと得られるでしょう。レゲエファン以外の方も、ぜひ信頼できるライターを見つけてみてください。
みなさんの音楽ライフが豊かなものでありますように。