映画「ヒトラーの忘れ物」 デンマークに取り残されたドイツ軍少年兵に地雷撤去を強制

Amazonプライムビデオに「ヒトラーの忘れ物」という洋画があり、何の気なしに再生しました。

個人的にヒトラーに関する映画にどうも興味が惹かれるようで、「ヒトラー 最期の12日間」「黄色い星の子供たち」「シンドラーのリスト」「イングロリアス・バスターズ」「帰ってきたヒトラー」など、数々のナチス・ドイツをテーマにした映画を観ました。また、現代を舞台にした独裁がテーマのドイツ映画「THE WAVE」も、かなり良かったです。

それと漫画ですが、手塚治虫「アドルフに告ぐ」は、10回以上通読しています。

さて、今回ご紹介する「ヒトラーの忘れ物」ですが、こちらは戦争映画ではあるものの、実はアドルフ・ヒトラーは登場しません。アドルフ・ヒトラーが1945年4月30日に自死(爆死)し、その翌月、ドイツが降伏した後の史実を基にした作品だからです。

そして、忘れ物というのは、地雷です。

僕はこの作品を観て、こんな悲惨な歴史があったのか……と驚愕しました。

過去の酷い過ちを世に知らしめ後世に残す、という意味でも有意義な作品だと言えるでしょう。そして映画作品としても、とても素晴らしいものでありました。

デンマークに残された地雷の撤去は、ドイツの少年兵に強制労働させた

極力ネタバレにはならないように書きますが、映画の最後に以下のメッセージが掲げられます。

2000名を超える独軍(ドイツ軍)捕虜が除去した地雷は150万を上回る。半数近くが死亡または重傷を負った。彼らの多くは少年兵だった。

 

After the war more than 2,000 Geraman POW’s were forced to remove over 1.5 million landmines from the west coast of Denmark. Almost half of them died or were severely injured. Many of them were just young boys.

歴史を知っておくと、映画の内容がスムーズに理解しやすくなるので、少し説明します。

本作「ヒトラーの忘れ物」のラスムスン軍曹は、デンマーク人。地雷撤去を命じられる少年兵達はドイツ人です。そして舞台はデンマークの海岸沿い。

デンマークは第二次世界大戦下においてナチス・ドイツによって突然宣戦され、早々に降伏したデンマークはドイツの占領下に置かれます。期間は1940年からドイツが降伏する1945年5月まで。

ナチス・ドイツ軍がデンマークを占領中、連合国の侵攻に備えてデンマークの海岸に大量の地雷を埋めたのです。その地雷の撤去を、デンマークは置き去りになったドイツ軍兵士(捕虜)に強制させたという訳です。

映画に登場するラスムスン軍曹は鬼軍曹。自国の若き兵士を指導する訳ではなく、恨みつらみがあるナチスドイツ軍の兵士を相手にするのですから、それはもう容赦ありません。

ラスムスン軍曹は、ドイツ人の若い兵士たちを家畜や奴隷のように使います。就寝させるための小屋には逃亡しないよう鍵をかけ、さらに食べ物は与えず、「餓死してもよい」とまで言い捨てます。

そんな劣悪な環境下において、少年兵達は、砂浜を匍匐前進ほふくぜんしんしながら棒を突き刺し、地道に地雷を探します。地雷を見つけたら、手で掘り出し、信管(起爆装置)を抜き、撤去。

それを延々と繰り返させられるのです。

彼らは特殊な訓練を受けた爆弾処理班ではありません。しかも、処理はすべて手作業。当然事故は起きます。身体の一部が吹き飛んだり、即死したり。

本作は、鬼のラスムスン軍曹と、地雷撤去を強制させられた少年兵の物語です。

戦争映画ではありますが、派手さはありません。しかし、展開に引き込まれ、あっという間に見終えてしまうことでしょう。映画「ヒトラーの忘れ物」は、デンマークとドイツの合作です。両国が手を携え、この悲惨な歴史を映画作品として残したことにも大きな意味があるのだ、と僕は感じます。

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デンマークってどんな国? 有名人や企業など

デンマークの国旗

最後に、映画とは脱線しますが、デンマークの国について補足しておきます。

皆さん、デンマークと言われて、何かピント来ることがありましたか?

実は、僕たち誰もが知る作家がデンマーク人であったり、誰もが知るおもちゃメーカーがデンマーク発祥だったりするのです。少しご紹介します。

童話作家・アンデルセン 「マッチ売りの少女」など

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代表作「マッチ売りの少女」「みにくいアヒルの子」「裸の王様」などを持つ童話作家のアンデルセンこと、ハンス・クリスチャン・アンデルセン(1805年4月2日 – 1875年8月4日)は、デンマーク出身です。

レゴブロックのLEGO社

世界中で愛されている子ども向け玩具、レゴブロック。LEGO社は、デンマークの企業です。

社名の由来は、デンマーク語の「leg godt」。「よく遊べ」という意味で、そこからLEGOとなりました。1934年に創業し、当初は木製玩具でしたが、1949年よりプラスチック製のレゴブロックが製造されました。

1949年というと、映画「ヒトラーの忘れ物」の5年後です。

世界幸福度ランキング1位

デンマークの首都・コペンハーゲンの街並み

また、デンマークは「世界幸福度ランキング」で、2013年、2014年、2016年で、世界1位に輝いています。

デンマークは、1人当たりのGPDが高く、社会福祉が充実していて、健康寿命も長く、人生の自由度も高いとして、多くの国民が自国での生活に満足しているのです。

反面、国民の貯金額が低いことでも知られています。これは、子どもが生まれたり、失業したり、病気になったり、高齢になったりしても、社会福祉が手厚いので貯金をする必要がないからだと言われています。安心して暮らせるということですね。

ちなみに、日本の幸福度ランキングは例年50位前後です。

以上、今回は映画「ヒトラーの忘れ物」のご紹介でした。ここまで読んでくださった方は、きっと多少なりとも興味があるのだと思いますので、ぜひご覧ください。名作です。