質問です。
こんなとき、あなたはどうしますか?
あなたが街を歩いていると、突然、若くてきれいな女性(清潔感のある男性)から、声を掛けられました。
「すいません。突然で大変申し訳ないのですが、携帯電話をお借りして、一本電話を掛けさせていただけないでしょうか。実は電車にバッグを置き忘れてしまって、電話と財布を紛失してしまったんです」
とても困っている様子です。
あなたは「それは大変ですね……」と同情します。「どこに電話をするのですか?」と、その女性に聞きました。
「実家の母にです。今日、これから一緒に病院へ行く約束をしていたのですが、時間が間に合わなくて連絡をしたいのです」
なるほど。それはお母さんも大変だ。
さて、あなたは電話を貸しますか?
- A)「どうぞ、私の携帯電話を使ってください」
- B)「100円差し上げますので、そこの公衆電話を使ってください」
A・B、どちらかを選んでください。
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どれを選択しましたか?
ここで「A」を選んだ方は、危機意識が低いと言えます。
携帯電話で電話を掛けられると、番号通知によりあなたの携帯電話番号が知られてしまいます。また隙を見て、他の個人情報を盗まれる可能性もあります。
もし公衆電話が近くになくて助けたい場合は、番号非通知(電話番号の前に184)で、あなたが操作すると良いでしょう。
電話番号が知られたら怖いの?
その理由はいくつかありますが、まず「あなたの優しい性格」 + 「あなたの個人情報」 により、将来、詐欺師にターゲットにされる恐れがあるのです。あなたの性格につけ込んで……。
詐欺師は、良い人を演じて近づいてくる
今回、僕が伝えたいのは「詐欺師を見抜くのはとても難しい」ということです。
8年ほど前、僕はオレオレ詐欺グループのリーダーと、2時間ほどふたりきりで話したことがあります。
なぜ、そんな人物と会ったのか?
それは僕は、彼が詐欺師だとは知らなかったからです。
彼は、詐欺師だけでなく、別の一面も持っていました。その一面を通じて僕は彼と知り合ったのです。
詐欺師ではない一面では、社会貢献を行なっていました。事業家として会社を経営し、利益のなかから恵まれない国の子ども達に支援をしていたのです。事業内容も、人を楽しませたり、喜ばせたりするようなことを創出していました。
僕は、そんな彼をインタビューしたのです。
ビデオカメラとボイスレコーダーを設置し、東京・自由が丘のカフェで撮影しながらの取材です。
彼の半生、事業内容、将来の目標など、根掘り葉掘り質問しました。
彼は、明るく前向きに語ってくれました。ビデオカメラの前でも堂々と。
そして僕は、彼にとても良い印象を持ったのです。
詐欺師だとは見抜けない
取材したデータを納品し、インタビューが世に出回り始めた頃、僕はニュースで逮捕を知りました。
彼はオレオレ詐欺グループのリーダー格で、孫を装って高齢者から現金200万円をだまし取るなどし、1年間で8,000万円ほど得ていたとのことです。
「え……嘘やろ」
僕は自分のことを「用心深い性格」だと思っています。これまで、怪しげな新興宗教やマルチ商法からの勧誘を見抜いてきましたし、パソコンのウイルスメールやフィッシングに騙されたことはありません(WordPressがウイルスに感染したことはありますが)。
そんな僕が、彼の詐欺師としての片鱗を感じることができなかったのです。
僕の体験は一例にすぎませんが、多く方は詐欺師を見抜けないと思います。なぜなら、見抜けられるようであれば、詐欺師なんてできないですからね。
相手は騙すプロです。
言い換えれば、警戒を解くプロとも言えます。
詐欺師は、静かにあなたを狙っている
なぜ「詐欺師は見抜けないのか」という話をしたのかと言うと、2019年はじめZOZO社長・前澤友作さんの「総額1億円のお年玉」(フォロー&RTで100名様に100万円)が話題になったからです。
100万円プレゼントに群がり、数百万人にリツイートされました。
前澤さんに悪気は無くても、詐欺師などの悪人は応募者を騙そうとチャンスをうかがっているのです。それに注意喚起をするため、僕は以下のツイートをしました。
数百人にリツイートされ、「そんな考え方があるのか」「確かに、詐欺には注意」などのコメントも頂いています。
ZOZOTOWN社長・前澤友作さんの「総額1億円のお年玉」(フォロー&RTで100名様に100万円)が話題ですね。
これ、リツイートしたり、リプライしたりしている人は、詐欺師など悪い人から「楽して金が欲しい人」として名寄せ(リスト化)されていると思うのでご注意を! まさに大網、大漁。
— 北野 啓太郎@フリーランスライター (@KeitaroKitano) 2019年1月5日
前澤さんに悪気が無くても、悪人は密かにチャンスをうかがっているのです。
「当選者には前澤さんから直接DM」ということなので、応募者はDM解放する必要があります。そこに詐欺、スパム、ウイルスなどのメッセージが送信される恐れがあるのです。Twitterでフィルタリングしてくれればいいけどね。
— 北野 啓太郎@フリーランスライター (@KeitaroKitano) 2019年1月5日
もし僕が詐欺師なら、前澤さんを装って「当選しました! 入金先の銀行口座を教えて欲しいのでここをクリック → URL」として、偽サイトに誘導します。
何万人、何十万人と応募しているのだから、何人かはきっと引っかかる。
その上で、個人情報を聞き出したり、マルウェアを仕込んだりします。
— 北野 啓太郎@フリーランスライター (@KeitaroKitano) 2019年1月5日
すでに前澤さんの偽アカウントは増産されています。多くの方が騙されているのか、それらのアカウントはフォロワー数をぐんぐん増やしています。
こうした「あげますツイート」は、今回の前澤さんだけに限りません。これまでも「MacBookあげます」「PS4あげます」と言った、フォロワー数を増やすキャンペーンを行う人が何人もいました。
「フォローして、RTするだけなら、簡単! やらないと損」
そんな気持ちで応募する方が大勢いますが、「うまい話には裏がある」というのを改めて肝に命じて欲しいのです。
RTした人が詐欺にあったり、今後、同様の手口で悪いことをしようとする人が増えるのが心配です。
「Twitterは危ない」
そんな声が高まったら寂しいですもんね。
誤解が無いように補足しますが、前澤さんが悪いわけではなく、詐欺師があなたたちの様子を虎視眈々とうかがっているのです。どうかご用心を。
【追記】Twitterのお金配り、オレオレ詐欺の受取口座・受け子として悪用される
ツレの息子
ツイッターで金配りを見つけて応募
→当選して2万円貰う
→その為に口座教える
→口座に200万振り込まれる
→間違って振り込んだので返金を
→野田阪神に200万持っていく
→御礼に10万もらって190万渡す
→ツレの息子先週受け子で逮捕
→否定してるため接見禁止— おおがけさん 🍈 メロン 🚴♂️ (@oogakesanmelon) September 19, 2022
TwitterなどのSNSでは、その後もお金配りツイートが散見されます。そこで起きた詐欺事件、その実態が明らかにされていました。
実際にお金が当たったので銀行口座を教えたら、それがオレオレ詐欺などの特殊詐欺の受け渡し口座として悪用され、さらに受け子として、主犯格へお金を渡す役割も知らずにうちにさせられていたのです。
詐欺師の頭の良さには閉口させられます。手口はさらに巧妙化・悪質化していますね。
「楽してお金をもらいたい・儲けたい」
そう思っている奴はそもそも騙しやすいので、詐欺師としても使いやすいのでしょう。