アフィリエイトやショッピングサイトに行動心理学。人に行動を起こさせる8つの方法

人は、意識している・していない関わらず、他人やモノから影響を受けたり、他者に影響を与えたりしています。

たとえば男性の方、中学生や高校生だった頃に、こんなことがありませんでしたか。

クラスのある男子が、「〇〇さんって可愛いよなぁ」と言いました。

あなたは、その子のことを特別可愛いと思っていなかったのに、その言葉に影響を受け、「そういや可愛い」と思えてきます。次第に他の男子にもそれが広がって行き、いつの間にか、男子生徒の中で「クラスで一番可愛い〇〇さん」になった。

男子からみる女子の「かわいい」とは、単に見た目だけではなく、性格、仕草、学力、趣味などを総合的に捉えて、そこから醸し出されるもので判断します。なので、他人の高評価にハッとさせらて、「今まであの子の魅力に気づかなかった!」と驚く訳です。

僕は長いあいだ、「誰かから『〇〇さんは可愛い』と聞いたら、なぜ気になる存在になってしまうのだろうか」と不思議に思っていました。

実はこうした心理は、ちゃんと研究されています。社会心理学者・セルジュ・モスコヴィッシ氏は、少数派(マイノリティ)が多数派(マジョリティ)に影響を与えることを証明しました。

「影響力 その効果と威力」今井芳昭 著

ビジネスをされている方は、「どうすればお客さまが来てくれるだろうか」「もっと売上を伸ばすにはどうすれば良いだろうか」と、日々考えていると思います。

そんな中、行動心理学が、ここしばらく注目されています。

きっかけは、ダニエル・カーネマン氏が受賞した2002年のノーベル経済学賞。ロングセラー本「ファスト&スロー」を書いた方です。

日本では近年、佐藤雅彦氏の行動経済学まんが「ヘンテコノミクス」や、ふろむだ氏の『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』がヒットし、書店の本棚を飾っています。

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この他にも、2018年3月で終了してしまいましたが、NHK Eテレで毎週放送されていた、又吉直樹による経済番組「オイコノミア」でも行動心理学がたびたび取り上げられていました。

さて、今回ご紹介するのは、社会心理学者で慶應義塾大学の教授、今井 芳昭氏の「影響力 その効果と威力」という本です。

ずばり、影響力。

Kindle Unlimited(キンドル本読み放題)にラインナップされていたので、読んでみました。

人は何から影響を受けるのか。
辞書のように様々な事例が書かれています。

本書には、ブログ、アフィリエイトサイト、ショッピングサイトなどを運営している方にとっては役立つであろう、「ウェブサイトにおける影響力」に関する項目もありました。ユーザーにクリックしてもらう8つの方法です。

要約しながら少しお伝えします。

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【1】社会的証明

グルメサイト

売上ナンバーワン!
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食べログで高評価!

大勢が評価している。社会が証明している。ユーザーは、多くの他者がとっている行動の影響を受けやすくなります。

【2】返報性

スーパーで試食を配る店員さん

送料無料!
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ユーザーが何か恩義を感じると、それを返さなければならない、という気になりやすくなります。

【3】希少性

処分セール

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購入の機会が限定されると、商品価値が高く見積もられ、購入しようという気にさせられます。また、「お申し込みは今すぐ」とう表示があると、無意識レベルでクリックしてしまいやすくなります。

【4】選択肢の数

スーパーの陳列棚

選択肢が一つの場合は、心理的に抵抗を感じます。選択肢が複数あると、ユーザーは選ぶようになります。たとえばジャムを販売する場合、1種類だけではなく複数ある方が良いという訳です。

ただし、選択肢がありすぎると、どれが良いか迷ってしまい、購入に結びつかない傾向があるので要注意です。3〜5くらいの選択肢が良いようです。

【5】コミットメント

ホームラン予告

人は、みんなの前で「禁煙するぞ」「ダイエットするぞ」と宣言すると、その通りになる可能性が高くなります。コミットメントとは「関わり」という意味で、人は一度関わりを持つと、そこから離れて別の行動を取りづらくなります。

ショッピングサイトに、「欲しいものリスト」「アンケート」「商品レビュー」などの機能を付加すると、ユーザーを商品やショップにコミットメントさせることができます。そうすると購入してくれたり、リピーターになってくれたりしやすくなるのです。

このとき、ユーザーに対して「自由意志でその行動を取った」と思わせることが肝心です。

【6】類似性

嬉しそうな二人の女性

出身地が同じ、出身校が同じ、世代が同じ、同じ観光地へ行ったことがあるなど、人は類似性があるとお互いに親近感を覚えます。

ウェブサイトのユーザーの属性に合わせたタレントや人物を起用したり、同世代の人物がユーザーに語りかけるような体裁にすると、ユーザーは親しみを感じます。ちょっと見てみようかという気になりやすく、商品やサービスにも興味を持ってもらいやすくなるのです。

【7】喪失の恐怖

失恋した男性

人の脳は、得る喜びよりも、失う恐怖の方が、より反応します。すでに所有しているものを失いたくないのです。

そこで、パソコンなどを販売する場合、先にメモリやCPUのオプションにチェックをつけておくと、それを外したくない(失いたくない)という気持ちが起きやすくなります。

【8】イメージとストーリー

難民の子ども

文章だけで人に伝えるより、そこに画像やイラストが添えてあると、理解が促進され、記憶されやすくなります。

また、物語も効果的です。伝えたいことをエピソードとして表現します。たとえば、アフリカ全体の窮状を訴えるよりも、ある一人の子どもが食事や病気に困っている様子を紹介した方が、受け手の心は動かされるのです。

ウェブサイトで情報を発信する際、文字だけではなくイメージ(画像)も駆使し、ストーリー仕立てにすることが重要です。そうすることで、ユーザーに記憶してもらいやすくなります。

「行動心理学」こんなやり方、ずるい!?

ブラックハットを持つ怪しい男性

これら8つのテクニックをみて、「ズルい」とか、「詐欺っぽい」とか、感じた方もいるでしょう。

そうなんです。
当然、悪徳商法や詐欺をたくらむ者も、こうしたテクニックを駆使しています。

あなたの類似性をアピールしながら近づいてきて、物をくれたり、カフェ代をご馳走してくれたりして、返報性を狙ってきます。そして、「このままではあなたは幸せになれない」などと喪失の恐怖を与え、「人生を良くするには、実はこんなやり方がある」といくつかの選択肢を提示します。さらに、妙な集会に誘われて、みんなの前で自分の夢を宣言させられてしまうのです。

僕は、渋谷にある某カフェで時々仕事をしているのですが、そこへ行くと、こうした会話をしている20〜30代の若者に高確率で遭遇します。iPadや書類を広げて、妙な説得しているのです。

今回ご紹介したようなテクニックを知っておくことは、あなたの身や財産を守ることにもつながります。世の中には、様々なトラップが仕掛けられていますからね。

経済学と社会心理学が組み合わさった「行動心理学」。ビジネスをする方にとっても、一般消費者にとっても、この学びは有益です。悪い奴に騙されないように、そして良いことに活用するために、この学びをぜひお役立てください。