“お店の内装はすべて彼に任してるんです。僕は料理人として、棚が欲しいとか、高さとか、そういう機能性の部分だけ口を出しています。”
そう語るのは、現在オープンにむけて内装工事中のバル、「Bar spesso」のオーナー竹内恒平(たけうち こうへい)さん。
料理人である竹内さんは、長年の念願だった自身のお店をまもなくオープンする。これまでつちかって来た人生の集大成ともいえる店内の内装を、まだ一度しか会った事がない木工職人、岩瀧史尚(いわたき ふみひさ)氏に全面依頼した。
なぜ、一度しかあった事がない男を信頼し、託すことが出来たのか?
工事中の現場にお伺いし、竹内氏にお話を伺った。
ビビッと来たんです。絶対任せたいって!
竹内氏:
最初は、デザイン会社さんに相談したんですよ。でも、全然面白みがなくて。
パッと案は上げて来るんですけども、ワクワクするものがひとつも無いっていうか。提示した予算に対して、それなりのもん出されたな、っていう。「あぁ〜普通だなぁ。せっかく自分のお店やるのにつまんないなぁ」って思いましたね。
で、彼(岩滝さん)に現場を見てもらって、そのあと飲みにいって話をしたら、その瞬間に「あっ!彼とやった方が面白いな」って感じたんです。
北野:
業種は違うけど、通じるものがあったんですね。
竹内氏:
ありました。ビビッと。
絶対、任せたいなって思いました。話をしながら、すぐに「ここをああしたいな、こうしたいな」っていうアイデアが次々出てきて、彼と一緒にやった方が絶対に面白くなるなって思いました。
料理人としての僕の考えと、家具職人としての彼の考えに、近いものがあるなって。彼の話には、共感できる部分がすごくあったんです。やっぱり職人さんだなって。
人と人のつながりでつくるお店。
竹内氏:
僕の兄貴が元々彼(岩瀧氏)と知り合いで、数年前に連れられて彼の家へおじゃましたんですね。参加者全員一品持ち寄りのホームパーティーへ。そこで初めて会って挨拶して、その時に家具職人というお話を聞いたんです。「いつか僕が店を出すときには、椅子とかお願いしたいですね〜」みたいな話をしていたんですけど、それが数年後、店全体をお願いすることになったんです。(笑) 縁だなぁって思いますね。
北野:
数年前に、一度会ったっきり?
竹内氏:
そうです。どんな性格とかほぼ知らなかったんですけど、椅子の話とかもあったので、相談しようと声を掛けました。
北野:
へぇー!そんな何気ない出会いがここまで発展したんですね。
竹内氏:
今、ショップカードも準備してるんですけど、(前に働いていた)お店にお客さんとして来てくれたデザイナーさんにお願いしてるんです。全部、人とのつながりでお店が出来て行っていますね。
▲内装デザインをイメージする木工職人、岩瀧史尚氏。
目の前でお客様に喜んで頂ける幸せ。
北野:
なぜ、バルを選んだんですか?
竹内氏:
僕、結構長いあいだこういうオープンキッチンじゃなくて、厨房で料理をして来たんです。それが、前の職場がバルで、初めてお客さんとやりとりしたんですね。それがすごく面白くて、「自分で店をするならこれだな!」って思いましたね。
厨房にいた頃は、自分がつくった料理を誰に食べて頂いているのかわからない状態だったんですけど、バルだと「旨いね!」とか目の前で喜んでもらえるので、すごくモチベーションあがりました。
JR高田馬場駅から徒歩3分「Bar Spesso」(バール・スペッソ)
Bar Spesso(バール・スペッソ)は、美味しい料理と、豊富なワインが楽しめるお店。店主の料理とお酒、そして完成した内装を楽しみに足を運んでみては。オープンは2014年3月1日予定です。
Bar Spesso(バール・スペッソ)
東京都新宿区高田馬場 4-10-6
電話:03-3369-1008
営業時間:17:00〜24:00
人と人のつながりが、人生をつくる。
Bar spessoのオーナー竹内恒平さんとは初対面です。突然の押し掛けにも関わらず、貴重なお時間を割いてお話頂きありがとうございました。木工職人の岩瀧さんから「ええっ!バルにそれ?!」というアイデアが出て来るんだそうですが、竹内さんはそれも含めて楽しんでいるご様子でした。完成したら遊びに行きたいと思います!
人生とは、自分の能力や意思だけでなく、人と人のつながりで展開して行くんだなと、改めて感じ入りました。