繁盛論 “人が集まる”7つの流儀 (アスキー新書) 神谷 利徳
「人に喜んで頂ける仕事がしたい!」:☆☆☆☆☆
素晴らしい!
読み終えたとき、感激で打ち震えました。
本書はカリスマと称される神谷デザイン事務所、神谷利徳氏による「繁盛論」。流行るお店づくりについて書かれた本だ。
「北野は飲食店でもはじめるのか?」
「いいえ」
徹底したお客様視点をもった方の著書があると聞いて、この本を探したのだ。
出版は2009年12月。約4年前のビジネス書だが、渋谷の大型書店はじめ、5、6軒まわっても見つからない。すぐにでも読みたくて書店へ出向いたのに、結局Amazonで購入した。
買って大正解だった。
あたなのその視線、どの方角を見つめていますか?
僕は最近、人から「どうやったら文章が上手くなりますか?」と質問を頂くことが、ありがたくも度々ある。
そんな時は、こう答えている。
「徹底的に、読んで頂く方の、為になるように書くこと」。
自分の自慢をひけらかす為に書くのではない。依頼を受けた編集部に気に入ってもらうように書くのではない。取材したアーティストやお店などに気に入ってもらうために書くのではない。全ては、読んで頂く方のために書く。
読んで頂いた方の心を打つことが出来たならば、結果的にみんなの喜びにつながる、と。
僕は10年前、「レゲエという楽しい音楽があるよ!」と多くの人に知ってもらいたくて、Yellow Jamaicanというニュース・ブログをはじめた。以降、ぶれる事無く「クリックしてページを開いてくれた読者の方々が楽しんでもらえるように」を意識して、コンテンツを制作しつづけている。
■Swingin’Thinkin’関連リンク
→ 【生き抜くヒント】TUCKER、ロットン、CHEHON、BURN DOWN、SOUND MISSIONからのメッセージ。
→ 座右の銘「旨いモン食わしたろ」
その後、いまから2年ほど前、経営コンサルタント小宮一慶さんの本に出会い、自分のモヤっとした考え方が、クリアに晴れ渡った。
それが、「徹底的なお客様視点」だ。
徹底したお客様視点を持つ建築デザイナー
さて、本書「繁盛論」は、建築デザイナー神谷利徳さんの本だ。
感嘆のため息が止まらないほど、素晴らしい。
徹底的にお客様と向かい合いながら、仕事を遂行している。
例えば第一章。ここではクライアントとの打ち合せについて書かれているが、まるで『インタビュアーの極意』を解説するがごとく、お客様との話し方について書かれている。求めていることを把握し、さらに、クライアント本人すら気づいていない、心の中に秘めた理想まで追求してゆく。
本の構成にも、神谷さんの真摯な姿勢が溢れている!
神谷さんは、なぜ建築デザインの仕事をはじめたのか?
この経緯が面白い。
しかし本書は、その《ナイスつかみ》として活用出来る『神谷さんのコト』を最終章に持って来ている。
この辺りも謙虚というか、鮮やかで、心地よい。
僕だったら、つい最初に持って来て、まずは読者の気を引こうとしていただろう。だけど、あえてそれをしないのは、「神谷さんらしいと」読み終えてから思う。
繁盛論 “人が集まる”7つの流儀 (アスキー新書)
神谷 利徳 アスキー・メディアワークス 2009-12-09
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本書は、これから飲食店をはじめる方にぜひ読んでもらいたい本だ。
しかし、それだけではない。「私は仕事を通じて、人に喜んで頂きたい!」。そう願って頑張っている人達にも、ぜひオススメしたい。
<最後にひとこと>
最後の「あとがきにかえて」までもが素晴らしい。目頭が熱くなってゆき、思わず男涙が…。
個人的に殿堂入り本です。