会田誠展「天才でごめんなさい」(六本木・森美術館)。一体この人は何なんだ!?

森美術館(六本木ヒルズ)はっきり言って変態でした。エログロ作品もありますが、もっと広義な意味でのド変態。「げっ!! 何故こんな絵を描いたんだ!こんなモノを作ったんだ!」といった衝撃です。

東京・六本木で開催、現代アーティスト会田 誠(あいだまこと)氏の展示会へ行って来ました。

会田誠展「天才でごめんなさい」
2012年11月17日〜2013年3月31日
@森美術館
東京都港区六本木6丁目10−1
六本木ヒルズ 森タワー53F
森美術館特設ページ

会田氏に関しては、実はほとんど作品を知らないままに会場へ行ったんです。イメージ的には、狂気の中で少女をモチーフにマゾヒズムな作品を描く奇抜な方、という印象を持っていました。それは、少女の両手両足を半分切断した「犬」という作品を、かつて見た事があったからです。個人的は、ホラー映画は一切見れない程、グロテスクな世界はまったくの苦手です。今回の展示会、かなりためらったのですが、少しきっかけがあり行く事にしました。

会田誠展「天才でごめんなさい」

「この世に、何故こんな変わった人が居るんだ」は、アートが楽しくなってくるポイントですね。

良い意味で期待を裏切られました。エログロは一部だし、なにより全体を通して見ている内に、ニヤニヤと楽しくなって来たんです。社会風刺や戦争をテーマにした作品もあります。特に面白かったのは中盤にあるポスター・シリーズ。会場ではクスクス押し殺した笑い声、まさに『ジワジワくる』エリアです。その辺りまで見た頃には、すっかり苦手意識はなくなり「この人、キテるなぁー」と思いながら、ふと気づけばハマっていました。

会田誠「おにぎり仮面」

会場で唯一、カメラ撮影OKの作品「おにぎり仮面」。なんだかサッパリわかんないじゃないですか?でも、なんだか面白いんです。

会田氏の作品はテーマも様々ながら、作品ひとつひとつに掛ける時間も色々なようです。「これ10分で描いたんじゃないの?」と思える作品から(決してそんなことは無いと思いますが、パッと見た印象ということで…。スイマセン)、とんでもない緻密さと大きさで、数年掛かりで仕上げた作品など、そのぶっ飛び具合にも惹かれました。

終盤に展示されている、サラリーマンを題材にした「灰色の山」はすごく良かったです。巨大画であるこの作品は、下から山を眺め、その先にある空を見つめ、10分ほど見入ってしまいました。特にこういった作品は、本やネットなどで見るものではなく、現物を見ないとわからないですね。

本展示館会のタイトル「天才でごめんなさい」には、知らないが故に最初イラッとさせられましたが、見終わった後にはニヤリと思わせてくれるものに変わっていました。

知らずにごめんなさい。楽しかったです。

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<最後にひとこと>
自分はアートのことはよく判っていないのですが、個展というのは楽しいですね。美術館では、会場入り口で借りる解説が聴けるヘッドフォンは毎回必須です。作品の良さは「素人のオマエに理解されてたまるか!」かと思いますが、独自の世界観を持って生きている人の内面を垣間みるのは面白いです。自分は『生きざま』が好きなんだと思います。