20歳頃、難病ALSを発病。ホーキング博士の自伝映画「博士と彼女のセオリー」

ホーキング博士は、僕が10代だった1990年前後、よく雑誌などで見かけました。そこには、博士が電動の車イスに座って、思うように身体が動かせず、首を傾げた不自由な姿がありました。しかし、その写真からは悲痛さは感じられず、むしろ堂々とした自信が伝わってきた思い出があります。

彼は、宇宙を研究する物理学者で、1988年に出版した「ホーキング、宇宙を語る」が代表的な著書です。当時、僕は中学3年生で、「なぜ、ホーキング博士は不自由な身体なのか?」を知りませんでした。生まれつき障害を持っていたのだろう、と思っていたのですが、実はそうではありませんでした。

ホーキング博士の自伝映画「博士と彼女のセオリー」

映画「博士と彼女のセオリー」公式サイトより
映画「博士と彼女のセオリー」公式サイトより

今、レンタルショップやiTunes Storeなどで、最新作として並んでいる2014年のイギリス映画「博士と彼女のセオリー」。ホーキング博士の自伝映画ということで、「そういえば、ホーキング博士の名前はよく知っているけど、どういう方なのかあまりよく知ら無いな」と思い、借りて観てみました。

ホーキング博士って、生まれつき障害を持っていたわけではなかったんですね。

物理学を勉強しながら、パブで友人と語り合ったり、パーティーで女性と出会ったり。ごくふつうの大学生活を謳歌してたようです。しかし在学中、20〜21歳の頃に、急速に身体が思うように動かなくなります。ペンがうまく握れない、歩くときにつまづいてしまう。その異変により、医師の診察を受けることになるのです。

難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)

ホーキング博士の自伝映画「博士と彼女のセオリー」
映画「博士と彼女のセオリー」予告編より

診断結果、彼は病気でした。
病名は、ALS。

身体が思うように動かなくなってゆく病気で、のちには言葉も発せなくなる。しかし、脳(意識)はハッキリとしていて、自分の意思すら伝えられなくなるという恐ろしい病気です。そして、ホーキング博士(当時はスティーヴン・ホーキング青年)は、余命2年と宣告されてしまいます。

ホーキング博士は、ALSだったんですね。
この映画で知りました。

ALSは、10万人あたり1〜2人の発症と患者数は少なく、さらには治療法もなく、日本でも難病指定されている病気です。近年、インターネットを通じてASL患者の方がブログで情報を発信したり、NHKなどで患者さんの特集番組が制作されたり、また、世界中でALSの研究のための寄付を募る「アイス・バケツ・チャレンジ」がYouTubeで話題となりました。

■関連リンク

どんなに辛い人生でも、生きていれば、希望はある。

どんなに辛い人生でも、生きていれば、希望はある。
映画「博士と彼女のセオリー」予告編より

これは、映画「博士と彼女のセオリー」の予告編のなかでも出てくるホーキング博士のメッセージ。彼は、余命2年と宣告され、身体が動かなくなり、声も発せられなくなるも、その後も生きつづけます。まばたきで自分の意思を伝えるなど、絶望の淵に立たされるのですが、彼は前むきに、そして明るく、生きつづけます。

ホーキング博士は、1942年生まれの73歳。現在も生きつづけ、研究をつづけ、自身の理論などを発表し続けています。

とても勇気や希望が感じられる、素晴らしい映画でした。


<最後にひとこと>
近〜現代においても、宇宙の誕生と宗教(キリスト)教とは、やはり相容れないものがあるんですね。神は7日間で地球をつくり、アダムとイブを誕生させた。しかし、宇宙の理論では、はじまりは無からのビックバン。神の存在が否定されてしまいますもんね。この映画では、そういった葛藤も描かれており、生命の誕生、しいては宗教、さらには平和を考えるきっかけにもなるでしょう。



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