なぜ?本当?それから? ひらめく為の「本質をつかむ思考力」をレベルアップさせる本

「本質をつかむ思考力」小宮一慶
「感動!」:☆☆☆☆


本質をつかむ思考力 (中経の文庫) [文庫]ちょっとまって!それってホント?
よーく考えよう。

本質をつかむ思考力 (中経の文庫) 

Twitterでよく見かける、「政府のそのやり方は間違ってる!」などの怒り系ツイート。

特に昨年3.11の東日本大震災以降、ニュースやある個人の考え方や情報などに対して「そーだそーだ」「それはダメだ!」などの発言をよく見かけ、そのたび「それって短絡過ぎじゃないの?」なんて思っていました。

ちょっと保留して自分なりに調べたら良いのに、なぜ即沸点に??

思考力は、なぜ必要か?

そんな折り、書店でばったり出会った小宮一慶さんの「本質をつかむ思考力」。小宮さんの著書は筋道立てた納得の解説が素晴らしく、これまで10数冊読ませて頂き、ビジネス力にくわえて「人間としての正しい生き方」までも勉強させて頂いています。本書はタイトルのタイムリーさもあって、迷わず購入しました。

さて、本書のテーマ「思考力」とは一体なんでしょう?

スキルアップを目指して様々な知識を得る。それだけでは『知識のデパート』にしかならない。「大切な時間を削っていくら勉強しても、だた知識を増やすだけでは、ほとんどビジネスの役には立たない」と、説いています。

重要なのは『実践』。どこに問題があって、どうやったら解決出来るのか。知識は実践のための手段にしかすぎず、その活かし方を身につけなければ、せっかくの勉強も意味がありません。

ちなみに、良い仕事とは「実践や行動が認められて評価される仕事」。

その『良い仕事』という最終ゴールにたどり着くために必要なのが『レベルの高い思考力』というわけです。

思考力をレベルアップさせるには?

例えば、「日本茶のコマーシャルが多いな」「コンビニに行けばお茶の新製品が次々と出ているな」という印象や感覚だけで「売れている」と考えてしまうのは、具体性に欠けており、それは論理的思考力が低いと言えます。

関心を持つことは大事なので、こう思うのは決して悪いことではありません。だた、『印象』だけではなく『事実』を集めないと、本当のところはわかりません。

ある現象を見たときに、関心を持ってより深いことを考えようとする思考をスタートさせるかどうか。そして、それを調べたり、分析したりして『検証』しようと思うかどうか。これが重要です。

「健康志向だから日本茶ブーム」「利益率が高いからお茶」など、いきなり『理由』を考えずに、その現象が正確な事実かどうかを見極めないといけないのです。

そして、その現象や問題の理由や根本原因、つまり『本質』を見つけ出します。「健康ブームだから?」「お茶のほとんどは国内産の原料で安心だから?」など、「なぜ?」「ほんとう?」「それから?」と仮説検証を繰り返して、『本質』をとらえてゆきます。

 

【1】「現象」をとらえる!

【2】「仮説検証」する!

【3】「本質」をつかむ!

思考力を高めて「ひらめき」を得る!

『本質』までたどり着くのも、なかなか簡単なことではありません。しかし、最終の目的は『ひらめき』を得ることです。

先の【1〜3】で思考のトレーニングを積んでいけば、アタマの中の『引き出し』が増え、さらにその中身の量と質が高まってゆきます。その先にまっているのが『ひらめき』です。

新しいAという事実が引き出しにインプットされたときに、サッとべつのXという引き出しが開いて、その中身が関連づけられる。その関連付けが『ひらめき』です。

ちなみに、その関連付けですごい中身が出て来た状態が、『すごいひらめき』です。

図解入りでサクッと読めます。

以上、ザッと本書「本質をつかむ思考力」の一部を引用しながら、内容をほんの少し紹介させてもらいました。実際この本の中身は、ページ内に図解もふんだんに使われているので、非常に読みやすく、理解しやすい構成になっています。もちろん、説明が非常に上手い小宮さんですので、文章や流れに無駄がなく、教科書的に活用できます(手軽なポケットサイズの文庫本ですので、持ち運びにも便利!)。

特に新しいビジネスをはじめる時は、自分の直感に頼りすぎないように気を付けないと行けませんね。また、自分の感覚として「あの業界は儲からない。斜陽産業だ」などの印象を持ち続けていると、みすみすビジネスチャンスを逃してしまう可能性もあります。

さて、記事冒頭で書いた『短絡的に感じてしまうツイート』。おっ!と思える情報に出会っても、そこですぐ発信してしまわずグッと我慢して、本質をつかもうとする事を習慣化する。そうすることで、引き出しのクオリティーがグングンUPしてゆき、それが『ひらめき』に進化してゆく。

「本質をつかむ思考力」とは、自分を高めることができるパワーの源といえるでしょう!

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<最後にひとこと>
本書の最後、エピローグには「良い仕事をする」意義について書かれています。

なるほど深いです! 仕事というのは「単に生活費を稼ぐためにしなくてはいけないこと」ではなさそうです。ぜひ本書を手に取り読んでみてください。630円です。