お金ばら撒きキャンペーンは短期効果、社員全員に社長のポケットマネーは長期効果

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お金は、人を動かす力を持っています。

「お金あげます」

というキャンペーンを、最近よく見かけるようになりました。花咲か爺さんが「枯れ木に花を咲かせましょう」と灰を撒けば桜が咲きましたが、企業が「300億円あげちゃおう」と大盤振る舞いでお金をばらまくと大勢がLINE Payに群がりました。

  • 【2018年12月】QRコード決済「PayPay」、100億円あげちゃうキャンペーン
  • 【2018年12月】QRコード決済「LINE Pay」、20%還元キャンペーン
  • 【2019年1月】ZOZO 前澤社長、100名様に100万円「総額1億円のお年玉」を現金でプレゼント
  • 【2019年2月】PayPay、100億円還元キャンペーン第2弾
  • 【2019年5月】LINE Pay、300億円あげちゃう祭

今回は「お金のばら撒き効果」について、僕の考えをお伝えします。

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外へのお金のばら撒き、バズは得られるが短期効果

先に事例を紹介した、ZOZO 前澤社長、PayPay、LINE Payの大金ばら撒き。

これらはTwitterを中心にSNSで拡散し、とても話題になりました。いわゆるバズです。

しかし、キャンペーンが終わった途端、その盛り上がりは瞬く間に鎮火したのです。今、この記事を書いているのは2019年5月ですが、4ヶ月前に盛り上がったZOZO前澤社長の「総額1億円のお年玉」なんかは、もう遠い昔のことのようです。

「あれ? 今年だっけ、それとも去年だっけ」

僕は、それくらい前のことにように感じていることに気づきました。前澤社長はお年玉企画でTwitterフォロワー数を50万人から600万人へと激増させましたが、企画終了後わずか1ヶ月で100万人以上もフォロワー数が減少したのです。

「祭も終わったし、解散〜」

そんな感じでしょうか。寂しいですね。

ごめんなさい、前澤社長をディスるつもりはありません。事実として書きました。

これはPayPayやLINE Payでも同様で、あっという間に忘れられる(ユーザーが離れる)ので、すぐに第2弾を展開したのでしょう。

「せっかくお金をあげたのに、みんな冷たいな」

プロモーションを仕掛けた側はそう感じるかもしれませんが、それには理由があります。なぜなら、元々何のつながりも無いからです。

ZOZOも、PayPayも、LINE Payも、プロモーションで新規客を狙いました。ZOZOは以前からあるECサイトですが、ZOZOユーザー向けに配ったのではなく、「前澤社長のTwitterアカウントをフォローしてRTするだけ」という、誰でも応募できる企画です。

これまで何のつながりも無い人・企業からお金をもらっても、つながりは強化されないのです。周知はされますが、元々つながりがないので、強化も何もありません。

「━━━祭、糸冬了━━━!」

です。

外へのばら撒きは、バズって大勢に知られることはできますが、絆は生まれず、効果は短期だと言えるでしょう。

「だったら、ばら撒き続けるまでだ!」

という企業が出てくるかもしれませんが、人は貰えていたものが貰えなくなくなると不満を覚えるようになります。この辺りは行動経済学の本を読んでください。

社長が全社員にポケットマネーを配り、そのエピソードが内外に何年も語り継がれた

阪神タイガースのマスコットキャラクター トラッキー

次に、お金のばら撒きを身内にした事例をご紹介します。僕が大学を卒業して最初に入社した企業でのエピソードです。

その企業は、大阪に本社がある建材メーカーです。その会社の会長は熱狂的なトラキチ。阪神タイガースの熱烈なファンでした。

これは僕が入社する前のことなのですが、阪神タイガースが優勝したとき、会長(当時は社長)は全社員に金一封を配ったのです。会社からの臨時ボーナスではなく、ポケットマネーでひとり1万円づつ。

「祝優勝・阪神タイガース」

そんなことが封筒に書かれていたと、当時受け取った先輩から聞きました。

そしてこのエピソードは、何年先にも語り継がれました。

「会長は、社員思いだ」
「みんなで阪神を応援しよう」

金一封が欲しいからではありません。会長はとても威厳がある方でしたが、その行為は可愛らしく受け止められました。「僕たちは日頃、会長に可愛がってもらっている。だから僕たちは、会長のためにも阪神タイガースを応援しよう!」と、ちょっと不思議な一致団結が生まれたのです。

さらに、このエピソードは外にも広がって行きます。原材料の仕入れ先、配送業者、卸問屋、工務店、設計事務所、内装店、壁紙職人……。

阪神タイガースの優勝が嬉しくて全社員に配った金一封が、長期間に渡るポジティブな効果を生んだのです。

お金は人を動かす。短期と長期、どっちを狙う?

空に浮かび上がっていく気球

お金には人を動かす力を持っているのは、誰しもが知っていることです。

どうしてもバズが必要な場面もあるでしょう。

QRコード決済が乱立する昨今において、生き残るためには抜きん出る必要があります。でもこれは先に書いた通り、所詮バズ。バズは瞬間的な効果が得られるだけなのです。

「わが社も金のばら撒きをするぞ!」

そう考えている企業やPR会社があれば、ちょっと待ってください。緊急事態や新たな業界の創生でないのなら、そのお金を内側に使ってください。

  • 全社員に配る
  • 全ユーザーに配る

きっと関係性が強化され、効果は長期間持続するでしょう。

そのためにはタイミングも重要です。唐突に配ると「???」になるので、その企業ならではタイミングを見極めることでより効果が高まります。

そう考えると、全社員に金一封「祝優勝・阪神タイガース」はセンスがあるなぁ、と改めて気づかされます。

同じお金であっても、パッと消えて無くなる使い方と、じわじわと語り継がれる使い方があるのです。凡人には大金をばらまく機会はありませんが、少額であっても日頃から効果的なお金の使い方を意識していると、金額以上のパフォーマンスが得られるスキルが身についてくるでしょう。