スティーブ・ジョブズならどうするか?は禁句だった ティム・クックCEOに託された真実

新型iPhoneが発売され、デザインが刷新されると、X(旧Twitter)などのSNSでは毎年のようにこんな声が聞こえてきます。

「もしスティーブ・ジョブズが生きていたら、こんなデザインは絶対に許さなかったはずだ」

Apple製品の変化に不満を抱いたユーザーが、ジョブズのカリスマ性を引き合いに出すのは珍しいことではありません。

Appleは「ジョブズならどうするか」を軸に動いているのか?

では、Appleの経営陣はどうでしょうか。ジョブズ亡き後も、社内で常に「ジョブズならどうするか?」を基準にして経営判断を下しているのでしょうか。

実はそうではありません。ティム・クックCEOは、ジョブズ本人からある重要な言葉を託されていたのです。

スティーブならどうするかを問うな

クックは複数のインタビューや講演で、ジョブズから受け取った助言を明かしています。それは……

「スティーブならどうするか? と自問してはならない。正しいことをせよ」

この言葉は、2011年の社内追悼式や後年のメディアインタビューで繰り返し語られており、確かな証言として残っています。

ジョブズは生前、ディズニーがウォルト・ディズニー亡き後に「ウォルトならどうしたか」という思考に縛られ、意思決定の柔軟性を失ったことを例に挙げました。Appleも同じ罠に陥らないよう、クックに明確な指針を残したのです。

スタンフォード大学スピーチとも考えが一致

この考え方は、2005年にスタンフォード大学で行った有名なスピーチとも一致しています。

Don’t be trapped by dogma — which is living with the results of other people’s thinking.
ドグマにとらわれるな。それは他人の考えの結果に縛られて生きるということだ。

Don’t let the noise of others’ opinions drown out your own inner voice.
他人の意見という雑音に、自分自身の内なる声をかき消されないように。

ジョブズが学生たちに語った有名な言葉ですが、これはAppleの未来へのメッセージでもあったのです。

「ジョブズが生きていたら激怒していたはずだ!」は見当違い

つまり、Appleは「ジョブズならどうするか」を基準に動いているわけではありません。むしろ、ジョブズの哲学に従えば、その問い自体がドグマであり、避けるべきものなのです。

だからこそクックは、「正しいことをやる」というシンプルかつ強固な方針を胸に、Appleを率い続けています。

とはいえ、ジョブズがいた頃のAppleをリアルタイムで体験してきた人にとっては、あの革新性や美学が心に強く刻まれているのは自然なことです。「ジョブズが生きていたら激怒していたはずだ!」という言葉は、単なる批判ではなく、ジョブズへの敬愛やノスタルジーの表れでもあるといえるでしょう。

ファンは「ジョブズなら…」を心の中で語り継ぎ、
Appleの中の人は「ジョブズを超える」つもりで進んでいる。

そのどちらもが、スティーブ・ジョブズの精神を受け継いでいるカタチなのかもしれませんね。

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出典

Tim Cook shared some advice that Steve had given him before he died: “Never ask what I would do. Just do what’s right.
Appleのスティーブ・ジョブズ追悼式で、ティム・クック氏は生前、スティーブから受けたアドバイスを次のように語った。「私がどうするかなどと決して問うな。正しいことをするだけだ。

STEVE JOBS TO TIM COOK: Don’t Do What I Would Do–Just Do What’s Right – Business Insider

“When he told me he wanted me to be CEO, he said that he never wanted me to ask what he would do,” Cook says. “He wanted a professional transition, and he wanted the company to go on.”
彼(スティーブ・ジョブズ)が私(ティム・クック)にCEOになってほしいと言ったとき、彼は「私に何をするかを尋ねてほしくないと言いました」とクックは言います。彼はプロの移行を望んでおり、会社を続けることを望んでいました。

A Decade After Becoming Apple’s CEO, Tim Cook Says He Never Felt He Had to Fill Steve Jobs’ Shoes – People

When Apple’s ailing chief executive and co-founder called Cook to his home to discuss the leadership transition that took place in August 2011, Jobs talked about the executive paralysis at theWalt Disney Co.after the death of the studio’s revered founder.

“He said that people would go to meetings and conference rooms, and they would all sit around and talk about what would Walt have done? What decision would Walt make?” Cook recalled Tuesday in an interview during the Wall Street Journal‘s D: All Things Digital Conference. “He looked at me with those intense eyes that only he had, and he told me to never do that, to never ask what he would do. Just do what’s right.”

アップルの病に伏した最高経営責任者(CEO)であり共同創業者でもあったジョブズが、2011年8月に行われる経営体制の移行について話し合うためにクックを自宅に呼んだとき、彼はウォルト・ディズニーの死後にウォルト・ディズニー・カンパニーで起きた意思決定のまひについて語った。
「会議や打ち合わせに集まった人たちが、皆で『ウォルトならどうしただろう?』『ウォルトならどんな決断をしただろう?』と話し合ってばかりだったんだ」と、クックはウォール・ストリート・ジャーナル主催のカンファレンスで火曜日に語った。
「そして彼は、ジョブズにしかできないあの鋭いまなざしで僕を見つめ、“決してそんなことをするな、彼ならどうするかと決して問うな。正しいことをしろ”と言ったんだ。」

Apple CEO Tim Cook talks about Steve Jobs, Walt Disney – New-Press

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ありがとうスティーブ・ジョブズ。今の僕は、あなたが居てくれたおかげです。