僕には、人生を大きく変えるきっかけになったブログを運営していた時期があります。
Yellow Jamaican(yellowjamaican.jp)というレゲエに特化したブログで、2005年1月から2006年12月までちょうど2年間しか運営していないのですが、とてもたくさんの方に読まれ、名もなきサラリーマンだった僕が業界で名前が知られるようになりました。そのブログをきっかけに、会社を辞め、大阪から東京に引っ越し、ロッカーズ・アイランドの一員としてレゲエ業界のど真ん中で仕事ができるようになったのです。
当時はブログ黎明期で、ブログが流行し始めたばかりの頃でした。
僕はブログ界で、今で言うところのユーチューバーやインフルエンサー的なポジションに近かったと思います。
過去記事ですが、この記事のコメント欄を見てください。ひとつの投稿に対して、89件も熱いコメントが!(今読んでも皆さんに大感謝。泣けます……)
そんなYellow Jamaicanで最後の記事を投稿してから、ちょうど20年経ちました。
その間、ネットでは様々なメディアが生まれては消えていきました。しかし僕は、このブログ「Yellow Jamaican」を閉鎖することなく、レンタルサーバーを契約し続け、ドメインも保持し続けたのです。
もうここまで来たからには、インターネットの歴史としてしっかり残しておこう! と考えたからです。
そこで22年前に契約したレンタルサーバーから別のサーバーに引っ越しをし、ブログを運営していたツールMovable Typeの動作を止め、サイトの安全性を高めるためSSL化なども行いました。
ニッチな話題だとは思いますが、今回行った作業も合わせて歴史として刻んでおこうと思います。
22年前に契約したレンタルサーバーから引っ越す
Yellow Jamaicanのドメインを取得し、レンタルサーバーを契約したのが2004年11月29日(*1)。およそ1ヶ月後の2005年1月7日に初投稿し、ブログ「Yellow Jamaican」を公開しました。
僕は、当時契約したロリポップ!のレンタルサーバーを、その後もずっと契約し続けていたのです。

ブログの更新をやめたあともサーバーを解約しなかったのは、Yellow Jamaicanをそのまま残しておきたかったからです。
ただ、さすがに20年以上が経過しています。
現在もサイト自体は表示されているものの、管理に使っていたMovable Typeは非常に古いバージョンのまま。セキュリティー面でも不安があり、正直いつ乗っ取られたり改ざんされたりしてもおかしくない状態です。
そこで今回は、「昔のMovable Typeを何とか復活させる」のではなく、現在表示されているサイトをそのまま保存することを最優先にしました。
ちなみに、今後Yellow Jamaicanを更新する予定はありません。
静的サイトとして保存するということです。
Yellow JamaicanはMovable Typeで作ったブログですが、公開されているページの多くはHTMLファイルとして生成されています。
つまり、Movable Typeそのものが動かなくても、すでに作られているHTMLや画像、CSSなどを新しいサーバーへ移せば、サイトを残すことができます。
今となっては、この「静的なHTMLが残っている」という昔ながらの仕組みに助けられることになりました。
*1. 余談ですが、僕がネット上に杭を打った「yellowjamaican.jpのドメインを取得した日」と、レゲエ音楽がユネスコにより無形文化遺産に登録されたのは同じ日なのです。「Yellow Jamaicanの日」は2004年、「レゲエが世界文化になった日」は2018年。記念日が同じというこの偶然に、縁を感じています。
まずは旧サーバーのデータを丸ごとバックアップ
何より怖いのは、20年以上残してきたデータを移転作業中に失ってしまうことです。
そこで最初に行ったのが、旧サーバーに残っているファイルのバックアップです。
作業はMacで行いました。FTPソフトのFileZillaを使い、Yellow Jamaicanのディレクトリを外付けドライブへダウンロード。HTMLファイルだけでなく、画像、CSS、Movable Type関連のファイルなども含めて保存します。
さらに、Movable Typeが使用していたデータも別途確保しました。
僕が使っていた古いMovable Typeでは一般的なMySQLではなく、サーバー上にデータベースファイルが保存されていました。調べてみると、mtdbという約133MBのファイルが残っていました。
今回はMovable Typeを新サーバーで復活させるわけではありませんが、これは当時の記事やコメントなどが保存された大切なデータです。
「使わないから捨てる」のではなく、こちらもバックアップとして残しておくことにしました。
Movable Typeは復活させず、静的なサイトとして残す
今回かなり迷ったのが、Movable Typeをどうするかでした。
せっかくサーバーを移転するのであれば、新しい環境でも管理画面を使えるようにしたくなります。
実際、設定ファイルなどを確認し、管理画面へログインできる状態にまで調整しました。
しかし、Yellow Jamaicanで使っているMovable Typeは20年以上前のものです。
現在のサーバー環境で無理に動かし続けるよりも、更新しないのであればCGIなどのプログラムを動作させず、公開済みのHTMLを静的なサイトとして残す方が安全です。
そこで最終的には、Movable Typeを「ブログを動かすシステム」として引っ越すのではなく、Yellow Jamaicanというサイトそのものを保存するという方針にしました。
これは今回の作業で、かなり重要な判断だったと思います。
ロリポップの新しいサーバーへYellow Jamaicanをアップロード
移転先は同じくロリポップのサーバーです。旧サーバーは現在のライトプラン。移転先はハイスピードプランです。ハイスピードプランは上位モデルで、このブログ「Swingin’ Thinkin’」のデータを保存しているサーバーです。
つまり、2つ契約していたサーバーを、ひとつにまとめてしまうというわけです。コスト的にも年間5,000円ほど抑えられますし、サイトの表示も速くなるメリットがあります。
では、本題に戻ります。
バックアップが取れたところで、新しいロリポップ!のサーバーにYellow Jamaican用のディレクトリを用意しました。
そしてFileZillaを使い、旧サーバーから保存しておいたデータを新しいサーバーへアップロードします。
ファイル数が多いため時間はかかりましたが、最終的には6,700以上のファイルが転送されました。
途中で3件ほど転送に失敗したものがありましたが、確認するとMovable Type内部の古いライブラリに関係するディレクトリでした。今回の目的である静的サイトの表示には影響しない部分だったため、そのままとしました。
移転後は実際にYellow Jamaicanへアクセスし、トップページだけでなく過去の記事や画像なども表示されることを確認。大丈夫そうでした。
特に心配だったのが内部リンクです。
20年前のサイトなので、ページ内に古いURLが大量に残っている可能性もあります。いくつかの記事をたどって確認しましたが、移転とSSL化を終えた状態でも正常にページを移動することができました。
20年以上前に作ったサイトが、新しいサーバーでも当時の姿のまま表示されたときは、さすがに感慨深いものがありますね。
独自ドメインを新しいサーバーへ移す
ただ、サーバー上のデータだけ移しても、yellowjamaican.jpへアクセスした人を新しいサーバーへ案内できなければ引っ越しは完了しません。
そこで、次に行うのが独自ドメインの設定です。
旧サーバーから新サーバーへ切り替えました。
Yellow Jamaicanのドメインはムームードメインで取得・管理しているため、ドメイン側の設定とロリポップ!側の独自ドメイン設定を確認しながら、新しいサーバーでyellowjamaican.jpを利用できる状態にしました。
ここは失敗するとサイトそのものへアクセスできなくなるため、今回の作業でもかなり緊張したところです。
しかし設定が反映されたあと、yellowjamaican.jpへアクセスすると、新しいサーバーに置いた「Yellow Jamaican」が無事に表示されました。
22年間使ったサーバーから、新しいサーバーへ。
URLもサイトの見た目も変わらないので訪問者には何も起きていないように見えますが、裏側ではかなり大きな引っ越しです。
ついにYellow JamaicanをSSL化
そして今回、もうひとつやっておきたかったのがSSL化です。
Yellow Jamaicanを作った2004年当時、一般的な個人サイトは「http://」でアクセスするのが普通でした。
そのためYellow Jamaicanも長年HTTPのまま残していました。
しかし現在はHTTPSが標準です。新しいサーバーへ移転したのを機に、ロリポップ!の無料独自SSLを設定し、Yellow JamaicanもHTTPSでアクセスできるようにしました。
ただし、SSLを有効にしただけでは、作業は終わりません。
なぜならサイト内に「http://yellowjamaican.jp/」から始まるURLが大量に残っているからです。このままでは、せっかくHTTPS化しても古いHTTPのリンクを参照してしまいます。
そこで今回は、Macにインストールしたアプリ「Visual Studio Code(VS Code)」を使って、バックアップしたYellow Jamaicanのファイルを書き換えました。
httpをhttpsに一気に置換できると考えたのですが、大量にありすぎたためエラー。そこで、archivesフォルダを年代・月ごとに確認しながら、記事内に残っているURLを「http://」から「https://」へコツコツと置換。その後、サイト全体も検索し、Movable Typeの検索やトラックバックなど、現在は使用しないCGIへのリンクを除きながら、必要なURLをHTTPSへ書き換えていきました。
20年前のサイトだけあって対象はかなりの数になりましたが、VS Codeのファイル横断検索・置換機能のおかげで、一つひとつHTMLファイルを開いて修正する必要はありませんでした。
そして、修正したファイルをFileZillaで新しいサーバーへアップロードし、過去の記事や画像、内部リンクがHTTPSで正常に表示されることを確認しました。
さらに、古いhttp://yellowjamaican.jp/へアクセスした場合にも、自動的にhttps://yellowjamaican.jp/へリダイレクトされることも確認。
過去の記事をいくつか開いて内部リンクも確認しましたが、HTTPSで正常に表示されています。
22年越しのSSL化です。
20年以上前のサイトを「動かす」のではなく「保存する」
今回の作業を始めたときは、単純に「古いサーバーから新しいサーバーへ引っ越す」くらいに考えていました。
しかし実際に作業を進めてみると、これは少し違いました。
古いMovable Typeを最新環境で無理に動かす必要はありません。
一方で、Movable Typeが作ったHTMLや画像、当時のデータまで捨てる必要もありません。
動かさなくていいものは止める。でも、残せるものは残す。
結果としてYellow Jamaicanは、更新するブログから「保存するウェブサイト」へ役割が変わりました。
考えてみれば、インターネット上の20年というのはかなり長い時間です。
当時使っていたサービスは終了し、ブログサービスやSNSも次々と姿を変えました。リンク切れになったウェブサイトも無数にあります。
そんな中、2004年に自分で取得したドメインで作ったサイトが、2026年になった今でも同じURLで開く。
これはちょっと面白いことだと思います。
Yellow Jamaicanをもう更新することは、おそらくありません。
それでも僕にとっては、サラリーマンだった自分の人生を変え、東京へ来るきっかけを作り、ロッカーズ・アイランドの一員としてレゲエシーンのど真ん中で働くことができ、そして今の仕事や生活へとつながった大切な場所です。
しかも、実はYellow Jamaicanを開設した当時、僕は私生活である困難に直面していて、泥水をすするような日々を送っていました。そこから立ち上がることができるきっかけになったのが、ブログ「Yellow Jamaican」だったのです。
だからこれからは「古いブログ」としてではなく、自分がインターネット上に残しておく小さなアーカイブとして維持していこうと思います。
Yellow Jamaicanの記事作成にあたり協力してくださった皆さんの想いも詰まっています。また、レゲエやブログとは全く関係がないところで、人生に詰まった方が僕の記事などを読んで、「こんな人がいたんだ……」と少しでも勇気づけられるきっかけになればと思っています。

