なんだこれ! 映画『悪い夏』は日本版レザボア・ドッグスだ

今回の記事は、映画のレビューです。

Amazonプライムビデオに、『悪い夏』という邦画のバナーがドーンと出ていました。存じ上げない映画だったのですが、主演が北村匠海さんで個人的にめっちゃ好きなので即ポチッと再生しました。

北村匠海さんは、『東京リベンジャーズ』『とんかつDJアゲ太郎』『君の膵臓をたべたい』など数多くの映画で主演を務めるなど、まだ20代半と若いにも関わらず素晴らしい実績を重ねている俳優さんです。特に悶々としているときの表情が真に迫っていて、グッとくるんです。

【ネタバレあり】映画『悪い夏』レビュー

北村匠海さんが演じる主役・佐々木守は、市役所の職員です。生活福祉課に在籍し、生活保護を担当。生活保護の申請に来た市民の対応をしたり、生活保護受給者の家を定期的に訪問するケースワーカーをしたりしています。

そんな佐々木は、真面目でちょっと気弱な職員です。

しかし、隣の席に座る同僚、毎熊克哉さん演じる高野洋司がやらかすんです。生活保護受給者である22歳のシングルマザーに性交渉を強要し、それを常習化。つまり、立場を利用して弱みにつけんでいるわけです。

クズですね。

そして、物語はここから展開します。正直、胸むそ悪い映画ではあります。原作の小説は「クズとワルしか出てこない」と話題となったそうです。著者の染井為人さんは、本作で第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しています。

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たしかに、酷い奴らが次々に登場します。生活保護を受給しながらドラッグの売人をしている男とか、裏社会で人を踏み台にして金を稼ぐ奴とか、その愛人で犯罪を共謀する女とか。

まぁ発端は、市役所の職員が生活保護受給者の性行為を強要していたことなのですが、ここから関わる人間がどんどんドツボにハマっていきます。

主役の佐々木守も、真面目がゆえに、その泥沼に足を踏み入れてしまうのです。

生活保護を担当するケースワーカーは、受給者の生活全般に関与します。家計のチェック、就労状況の確認、住居の訪問など、プライベートな部分にまで踏み込む仕事です。このため、受給者にとっては「支援者」でもあり、「監督者」でもあるという関係になりやすく、パワーバランスが崩れやすい側面がありそうです。

映画のように、ちょっと油断するとトラブルに発展してしまうリスクがあるのかもしれませんね。現実世界ではどうなのでしょうか? 過去の事例として、このような裁判がありました。要点は以下のとおり。

大阪の羽曳野市で、生活保護を申請した40代女性に対し、担当の30歳男性ケースワーカー(後に懲戒免職)が、2005年5月から12月にかけて計4回、「割り切って肉体関係を持ってみたら」「夜に自宅に行く」などと、性的な関係を持ちかける電話をかけた。裁判所は証拠をもとに「立場を利用した悪質なセクハラ行為」と認定し、市に対して慰謝料など計110万円の支払いを命じた。

 

奥村徹弁護士のブログより

映画のような強制わいせつに類する行為にはではなく、その一歩手前。まぁでも、至れなかっただけであり、映画に登場する高野と同類かもしれませんね。

話を本題に戻すと、中盤あたりは「えぐいな……」と思うシーンが続きます。

しかし終盤はドタバタ展開!

クエンティン・タランティーノの代表作『レザボア・ドッグス』を彷彿とする展開が繰り広げられました。

ラストはハッピーエンドなのか?
それともバッドエンドなのか!?

ぜひ、作品で見届けてください。

妙な映画だなぁと感じつつも、印象に残る映画でした!

 

悪い夏『予告編』

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