音楽アーティストが得る収入は、1再生あたり0.16円。Apple Music、AWA、LINE Music、Spotify……定額制ストリーミング配信時代に突入

地上波テレビで放送されたNHK「クローズアップ現代」、特集「音楽の値段はいくら? 配信ビジネスで問われる創作の価値」を見ました(関連記事)。

音楽サブスクリプション、いわゆる定額制音楽聴き放題サービスの現状をうまく取りまとめた内容で非常に良かったです。

NHKクローズアップ現代「配信ビジネスで問われる創作の価値」を見て

番組内容のポイントは以下のとおり。

  • 音楽産業が縮小してきている。
  • そんな中、Apple Music、AWA、LINE Musicなどの定額制ストリーミングサービスがはじまった。
  • これは新たな可能性を広げてくれる。

 

以下、内容の一部をご紹介します。

【音楽産業の歴史】誕生、栄光、そして衰退

今、名門スタジオの閉鎖が続いている。なぜ、音楽産業はここまで追い込まれたのか? まずは、音楽の歴史を振り返ってみます。

音楽普及の歴史

  • 19世紀末 – 蓄音機、レコードの発明。音楽販売のはじまり。
  • 20世紀 – プレスリー、ビートルズなど、ロックスターが登場。売上が急増!
  • 1980年代 – CD登場。アルバム1枚の値段がおそよ3,000円に上昇。
  • 1990年代後半 – メガヒットを連発! 国内売上高が過去最高の5,800億円を突破。
    右肩上がりはこの時代まで。
  • 2003年 – iPodなどの登場で、ダウンロード販売が始まる。1曲200円ほどに。
  • 2005年 – 無料動画サイト(YouTube)の登場。無料で音楽が聴けるようになった。
  • 現在 –  CDの売上が、最盛期の3分の1に激減した。

音楽専門家やアーティスト、危機感を抱く

ベッド・ミドラー

「配信サービスではアーティストは生活できない」

マドンナ「世の中にタダのものなんてないのよ」

テイラー・スウィフト「デビューしたばかりの新人が、十分な対価を得られなくなるのを心配しています」

そして、日本の音楽専門家は、「利便性は高まるが、音楽の価値は下がる。購入のプロセスがなく、誰かに(アプリに)勧められるまま聴き、誰が歌っているのかを意識しなくなり、アーティストの存在が希薄になる」と言います。

アーティストが得る収入は? 1再生あたり0.16円

アーティストの収入 CDアルバム 110円(1曲 8.48円)、ダウンロード1曲16.6円、ストリーミング再生0.16円

  • CDアルバム – 110円(1曲あたり8.48円)
  • ダウンロード1曲 – 16.6円
  • ストリーミング1再生 – 0.16円

*Spotifyの公表データを元に京都精華大学講師 榎本幹朗さんが試算(諸印税計15%と仮定)
*Spotifyとは、世界最大手の音楽ストリーミング配信サービス。現時点、日本未上陸

ラジオDJ、ピーター・バラカンさんの意見

番組ゲストとして出演していたピーター・バラカンさんは、ラジオDJ歴35年の大ベテラン。彼が語っていたことをかいつまんで紹介します。

音楽業界にいる側の方は、グサリとくる内容かもしれません。

レコード会社が宣伝しているのはアイドルばかり

  • 音楽に多様性がなくなっているのではなく、メディアから伝わって来るものに多様性がなくなってきている。
  • 昔、ラジオでもっといろんな音楽が流れていた。テレビでは音楽番組がたくさんあった。
  • レコード会社がプロモーション(宣伝)に力を入れるのはアイドルばかり。本当は、もっといろんなタイプの音楽がリリースされているのに。
  • CDが売れなくなったのは、違法ファイル交換(ファイル共有)がはじまった90年代後半頃から。その背景に「CDの価格が高くなった」「安価なCDシングルがなくなった」など、若者が買いにくくなった実情がある。
  • 音楽が無料で聴けるというのは、既成事実として15年以上前からある
  • CDの売上が落ちているといっても、ライブには多くの人が足を運んでいる。
  • Apple Musicなどのストリーミング配信は、聞いた回数に応じて制作者サイドに支払われるので新しい可能性がある。
  • 実際に物(CD)を持つと、その中に収まっている音楽への愛情は深まりやすい。ストリーミング配信のように何も物がないと、価値を見出しにくいかもしれない。

音楽業界のあらたな動き【事例紹介】

インディーズバンドDiz

ライブ本番前に、インスタントカメラのチェキでメンバーどうし大量に写真撮影。それをライブ会場で、1枚500円で販売する。「CDの販売だけでは間に合わないので、写真の販売に力を入れている」とのこと。


ピースオブケイク(CEO加藤 貞顕さん)

アーティストとファンを結びつける、新たな仕組みをウェブ上につくった。デビュー前の楽曲を販売したり、ファンから直接経済的支援を受けることができる。年間10万円以上支援するファンもいる。


音楽プロデューサー 牧村憲一さん

500円コンサートを開催。有名アーティストと一緒に新人を紹介し、新しいアーティストを知ってもらう場を広げている。

ラジオDJ、メディアとしての役割

ふたたびピーター・バラカンさんの意見。

音楽をたくさん聴いて、自分の感覚で紹介しよう!

  • 35年間ラジオDJをやっているが、本当に良いと思うアーティストは、新人であっても情熱を込めて伝える。情熱はきっとリスナーにも伝わる。
  • メディアに携わっている人は、もっとたくさんの音楽を聴いて、自分の感覚で紹介しよう。

最後に、ストリーミング配信がつくる未来は?

ストリーミング配信に危惧する関係者やアーティストもいるが、このまま行けばいずれにせよ音楽産業はより縮小する。そんななか、ストリーミング配信は新しい可能性をひらいてくれるだろう。ただし、まだ多くの人が模索中。これからだ!

……といった番組内容でした。

いずれにせと、今やってきている新たな時代の流れには、あらがえないでしょう。それだったら、ストリーミング配信時代到来を前提とした上で、新たな道を探るしかありません。賛否両論が渦巻いていて一筋縄にはいかないかもしれません。

さて、どんな生き抜く道があるのでしょうか……?

【iOS 13新機能】Apple Musicの歌詞機能、カラオケのように曲に合わせて表示させる方法:パパやるより

ところで、僕はApple Musicを愛用しています。膨大なアルバム・曲を持ち歩けるというのは素晴らしいですね! 曲によっては歌詞をリアルタイムに見ることができます。また、Appleが自動で自分好みのプレイリストを作ってくれる「For You」も、なかなかの選曲ですよ。

Apple Musicは3ヶ月も無料期間もあるので、まずは試してみてください。

北野
生活を音楽で彩ろう!

【追記2022年】1再生あたりの収益は最大でおよそ1円

NHKで音楽サブスクの特集があり、本記事を書いたのは2015年。

あれから7年。

CDの売り上げはますます減少し、サブスク利用者が増えました。全体のユーザー数が増えたからか、1再生あたりの単価も上がってきているようです。

そんな最中、ABEMA Primeにて「【音楽サブスク】SUKISHA「収益は2000万」儲かる?儲からない?」の特集が行われました。番組内で1再生あたりの収益に関しての発言があったので、その部分のみピックアップします。

Spotify、1再生あたり最大でおよそ1円

1再生あたり、およそ1円の収益。

ただし、必ず1円というわけではなく、それを下回ることもあり、その判断基準はよくわからない。「どこまで聞かれたのか?」が加味されているのかも。

Apple Music、1再生あたり0.8円〜0.9円

TuneCoreを通じて、各種サービスへ配信。Apple Musicからの収益は0.8円〜0.9円ほど。

本番組では、音楽サブスクで稼げるのかどうかを議論しました。結論としては、収益としては儲かる人もいれば、儲からない人もいるということ。音楽サブスクは人気のプレイリストにラインナップされると、再生回数が一気に上がる。再生回数に応じての収益なのである意味公平と言える。

また、歌詞の無いインストゥルメンタ(インスト)では、海外でパッと広がる可能性も。

音楽サブスク上では、CD販売とは違う、人気の出方や稼ぎ方となっている。

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