人生の魅せ方が最高!映画「ノーウェアボーイ」、クリエイターの腕前に感嘆。

ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ [2009年 イギリス / 日本上映2010年11月5日]
「作り手のセンスにノックアウト!」:☆☆☆☆☆


ノーウェアボーイ No Where Boy映像、文章、写真、絵、企画…。
クリエイターとしてのセンスは、どう切り取るのか。どの角度で、どう表現して、どう魅せたいか。

部屋に嫁さんが借りてきたレンタルDVDが転がっていたので、なんとなく再生してみた。

そこに映し出されたのは、1950年代のヒット曲、Jerry Lee LewisやDickie ValentineのMister Sandmanが流れ、部屋のラジオで盛り上がる1950年代後半のイギリス。少年から青年へと変わる年頃の男が主役の映画のようだ。

自宅でありながら、両親らしき人に「おじさん、おばさん」と声をかける。訳ありな家庭で育った若者の話なんだろう、と思いながら眺めていた。

少しやんちゃだけど、優しさを持った主役のジョン。その若き男心に敷かれながら、彼が感じていること、考えていること、その行く末が気になり、じんわりとストーリーに引き込まれて行った。

Nowhere Boy

映画最初の一秒で「…ん?」と思ったものの、それがそうだとはわからないまま話が少し進んだ頃、「これはあの人の話じゃないか!」とハッとさせられた。

この映画は自伝的な面白さではなく、ある男の人生の切り取り方が上手いのだ。その男であることを強調してアピールする訳ではなく、あくまで若者ジョンのストーリーとして展開する。

何度も言うが、うまい!きっとこの映画の監督や脚本家は、モテる男なんだろうと思う。その上手さに完全ノックアウトさせられた。映画作品とはこういう事。最高です!

Nowhere Boy

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<最後にひとこと>
主役のジョンと同世代である10代後半の若者達には、ぜひ見てもらいたい。自分の若い頃を振り返ってみると、中学高校の頃グツグツと心を熱くしていたモノは、今の自分にもしっかり繋がっている。「若者っていいな!」とうらやましく思いながらも、若者達には胸に秘めている熱い気持ちを大切にして欲しいと願う。生きて行くってきっと楽しいことなんです!