通信量は1時間で500MB以上! NHKがインターネット同時放送の試験開始 #ネットでテレビ実験

2016年11月28日、NHKがインターネットでのテレビ同時配信の試験放送を始めました。事前に申し込みしたNHK加入者の中から抽選で観ることができます。

僕はテレビのネット同時配信にかねてから興味があり、申し込んでいたところ試験参加に当選しました。早速初日の今日から、スマホ(iPhone)でNHKを見ながら仕事をしています。


161126_mail_icon_100

野 啓太郎様

このたびは「ネットでテレビ実験」にご応募いただき、ありがとうございました。選考の結果、ご参加をお願いすることになりましたので、お知らせいたします。

【実験参加期間】
2016年11月28日午前7時~12月4日(日)午後11時

※実験参加の際、NHKネットクラブのログインIDとパスワードが必要です。


 

まだ初日ですので、使い勝手やデータ通信量について第一印象をお伝えします。

Abema TVのようなサクサク感はなし。もっさりとしたワンセグ感

まず本題に入る前に、サイバーエージェントとテレビ朝日が共同で運営しているインターネットテレビ局「Abema TV」はご存知でしょうか?

僕はAbema TVサービス開始時からよく観ているのですが、ニュース、アニメ、ドラマ 、音楽、バラエティなど、10チャンネルほどあるにもかかわらず、とてもサクサク観ることができます。Wi-Fiの高速回線だけでなく、3G / 4G回線でも同じように快適に観ることができ、その技術力に驚かされました。

Abema TVの多チャンネルに比べて、NHKの試験放送は現在「NHK総合」1チャンネルのみ。それにも関わらず、起動に時間がかかり、電波の悪い場所に移動するとすぐに接続が切れてしまいます。起動の遅さや、サーバー接続の悪さなど、全体的にもっさりしていて、かつてのガラケー時代のワンセグのような印象を受けました。

僕が使っているiPhone 6の場合、アプリ起動に約5秒、そこから再生までにさらに10秒前後かかります。

ただ機能的には、特に問題ありませんでした。字幕のオン・オフができますので、外出先などで音が出せない場所でも観れるのは便利です。

通信量は大きすぎて危険! 1時間で500MB以上の通信量

161126_nhk_internet_douji_haishin_3

ユーザーにとって、もっとも問題なのは通信量です。以下、iPhoneのデータ通信量を測るアプリ「通信量メーター」を使って測定した結果です。

【データ通信量(1)】Wi-Fi で高画質

Wi-Fi 479.3MB
Wi-Fi 60分

NHKのネット同時配信アプリには「高画質」「中画質」「低画質」の3段階があります。まずは、Wi-Fi環境で「高画質」にて1時間試聴した結果です。1時間あたり479.3MBのデータ通信を行っていました。

  • 【Wi-Fi 1時間あたり】479.3MB

【データ通信量(2)】3G / 4G で高画質

161126_nhk_internet_smartphone_2
3G / 4G 30分

続いて、同じく「高画質」で、今度は回線を3G / 4G回線に切り替えました。この数字は30分での結果です。

「これはやばい! キャリアの速度制限にひっかかってしまう」

と思い、30分で切り上げました。ですので結果はこれを2倍して、1時間あたり782.4MBとします。

  • 【3G / 4G 1時間あたり】782.4MB

【データ通信量(3)】3G / 4G で低画質

次は、回線を3G / 4G回線のままに、画質を「低画質」に下げました。これは、かなりデータ通信量を抑えた結果となりました。高画質のおよそ4分の1です。

  • 【3G / 4G 1時間あたり】189.8MB

 

* 【備考】NHKと通信量測定のアプリ以外は、すべて終了した状態で測定。ただし、多少のバックグラウンドでのデータ通信量はあると思います。

* 【備考】測定は1度づつ行いました。もっと正確に測るには複数回測定して平均値をとるべきかと思いますので、ご参考としてご利用ください。

月間20GB級の大型データ通信プランに契約していないと、日常の試聴はできない

データ通信量に関しては、かなりデータ量を喰うことがわかりました。外出先で長時間見るのはかなり危険です。通勤時間に毎日1時間、1ヶ月に20日見ると、高画質ではおそよ15GBにもなってしまうのです。低画質でも3.7GBほど。

これはソフトバンクのギガモンスターやauのスーパーデジラ、ドコモのウルトラデータパックなど、20〜30GB級の大型データプランに加入していないと利用は厳しいでしょう。

現実的にはWi-Fi環境で使うものだ、という印象です。

Abema TVもおなじくらいのデータ通信量

ちなみにAbema TVも通信量は同じほどかかります。

ワンセグはテレビの電波を受信していますので通信料はかかりません。しかし、今回のインターネットテレビはインターネット通信を行いますので、気軽に見すぎると恐ろしいほどの料金がかかってしまうのです。

このデータ転送量をみると、利用者はかなり限られてきそうですね。

NHKネット配信、画質比較

最後に、NHKネット試験配信の画質比較。以下、NHKみんなのうたより「お月様ライト」MEGAHORN(MEGARYU)です。

NHKネットでテレビ実験 低画質
低画質
NHKネットでテレビ実験 中画質
中画質
NHKネットでテレビ実験 高画質
高画質

見ての通り、高画質の方が輪郭がクッキリしています。低画質では小さな文字はつぶれて、読みにくい場面もありました。

ただ、Wi-Fiが途切れたときのリスクを考えると、基本的な設定は低画質でも良いかもしれませんね。

以上、ファーストインプレッションでした。また良かった点・悪かった点などありましたらレポートします。

2019年から大きくて邪魔なテレビが不要に。ネットでの同時放送が解禁され、テレビ局存亡の危機へ