4年目の3.11を迎えて、自分の死を考える。

最近、自分の死を考えるようになった。
といっても、おおきな病気になったり、怪我をした訳ではなく、「いずれ自分もこの世から居なくなるんだな」という漠然とした思い。なぜこんなことを考えるのかというと、最近わが子を授かり命の誕生に触れたり、たまに帰省すると親の老いを少し感じたり、東日本大震災のような自然災害で突然人が死んでしまうさまを目の当たりにしたり、そういうのが切っ掛けかも知れない。でも、ちゃんとした理由はわからない。ぼやんと、人生のゴール、というのが頭に浮かぶようになった。

それは、まったく怖いことではなく、新たな人生の目標のようにとらえている。

ただし、死は自分が思い描いたように迎えられる訳ではなく、いつやってくるかもわからないので、いくら目標として掲げても、自分の意志でどうしようというものではない。でも、いい感じでゴールしたいなとは思っている。(笑)

外山滋比古著「老いの整理学」

老いの整理学 (扶桑社新書)

先日、渋谷の紀伊國屋書店でこんな本を手に取った。

著者の外山滋比古さんは現在91歳。すごいご年配ですが、数年前に渋谷のこもれび大和田図書館ではじめて著書を読み、文章の美しさにハッとさせられた。ご年配の文章は「漢字が多い」「句読点が少ない」「改行や段落が少ない」というイメージを持っていたのですが、外山滋比古さんの文章は、ひらがなのなかにポツンポツンと漢字があり、そして、句読点が絶妙のタイミングで入ってくる。目でも読みやすいし、音読もしやすい。

そんな外山滋比古さんの著書が店頭で面だし(表紙を表に向けて陳列)していたので、スッと手に取った。タイトルが「老いの整理学」と、老人に向けた本だったので、これは違うな、パラパラっとみて棚に戻した。

それから数日、どうもあの本が気になって、今日、渋谷へいったついでに買って帰ってきた。

偶然にも、今日は3月11日。
あの東日本大震災の発生とおなじ日だった。死を考えるようになった自分にとって、この本とは、なんとも考えさせられる巡り合わせだ。

渋谷の紀伊國屋書店がある、東急プラザが3月22日に閉館。

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買った本のカバーをみると、渋谷の地図になっていた。

いつもと違うのでなんだとおもったら、紀伊國屋書店が入っている東急プラザがあと11日で閉館するので、それを記念したブックカバーになっていた。

表紙をめくると、1966年から2015年まで49年間つづいた渋谷店が紹介されている。

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背表紙をめくると、2014年12月11日にあらたにオープンした西武渋谷店が紹介されている。

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渋谷の紀伊國屋書店に馴染みがある方にとっては感慨深い表紙。良いタイミングで本を買うことができた。外山滋比古さんの「老いの整理学」にもピッタリだ。

2011年3月11日、東急プラザは帰宅困難者をいち早く支援していた。

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話がどんどんズレてゆくが、東急プラザは3.11東日本大震災がおきたとき、館をあげて率先して帰宅困難者を支援していた。このことは自分が知る限りでは報じられることはなかったので、知る人は少ないだろう。

東日本大震災が発生した日、自分は渋谷の会社に勤務していた。当然、帰れる者は帰宅しろ、ということになったのだが、とにかく電車が動いていない。さらに、道路も微動だにしないほどの大渋滞でバスやタクシーも機能していない。

そんな状況で、渋谷の駅周辺には家に帰れなくなった人で溢れ返ってしまった。

ふと通りかかった東急プラザをのぞくと、中では「ドーナツです。いかがですかー!」と、洋菓子店の女性スタッフらしき人がトレイに沢山ドーナツを並べて、無料で配っていた。そして館内では、ブルーシートを広げて、「お疲れの方は、どうぞご休憩していってください」と、東急プラザの方であろう男性数名が声をあげていた。

地震が発生したのは14時46分。撮影したiPhoneに記録された時間をみると、17時52分とある。少なくとも、地震発生から3時間後には東急プラザは支援体制に入っていた。多くが戸惑っている最中、とても迅速な対応である。

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ドーナツを配る女性と、それをもらう一般人。わかりにくいが床にブルーシートが敷かれているのがわかるだろうか。デパートの入り口にこうやって座って休んでいる人がたくさんいた。

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そんな渋谷の東急プラザが、49年間の歴史にまもなく幕引きをするというのは、なんとも寂しい気分にさせられる。

2011年3月11日から、4年を迎えた東日本大震災 。

こうやって自分のことを考える余裕があるというのは、なんというありがたいことか、と気づかされる。老いるとは、とても幸せなことではないのだろうか。

年齢に抗う(あらがう)よりは、老いを実感して生きてゆきたい。

本日、東日本大震災が発生してまる4年が経過。大災害により何の前触れもなく命を断たれた方々、心よりご冥福お祈りもうしあげます。


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その時々の想いは、どこかに書き残しておこう。

記憶というものは薄れるもので、その時々で自分の心中をどこかに吐露しておくと良いと思う。こうやってブログでも良いし、TwitterやFacebookでも良い。もちろん、自分だけの手帳や日記でも良い。

4年前に自分が書いたSwingin’Thinkinのブログを読んだ。あの大震災はついこないだの事だ、なんて思っていたのが、記事を読み返しながら随分懐かしい気分になった。すでに忘れていたということは無かったけど、節電で街が暗かったこと、スーパーの棚が空っぽだったこと、ちょっとずつ記憶から薄れていた。思い、というのは物質に変化することはない。だからこそ記録しておきたい。

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2012年3月11日14時46分18秒。東日本大震災から1年。
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