上阪徹「超スピード文章術」

「原稿を書く速度が上がれば、もっと仕事を受けられるのに(もっと稼げるのに)」
「スケジュールに余裕を持ったつもりが、なぜかいつも〆切に追われる」
「サクサクと書ける原稿と、時間が掛かる原稿がある」

これ、僕の最近の悩みです。

僕はフリーランスで、主な業務がライティングです。ここ数ヶ月はライター業が加速し、ひと月に15本ほどの原稿執筆依頼を頂いています。平均すると2日おきに〆切がやってくるペースです。

ひとつの原稿は、1,500文字から4,000文字が中心。

「一日あれば書ける。翌日に推敲(原稿の見直し)をすれば、2日あれば十分だ」と思うのですが、月に何度か「か、書き切れない……」と、苦しむことがあるのです。

これをなんとか無くしたい! 僕の切実な悩みです。僕に限らず、文章を書く仕事をされている方は、似たような悩みや苦しみを持っているのではないでしょうか。

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原稿を書き上げる方法を、ロジカルに解説

つい先日、取材の帰り、東京・品川駅構内にある書店で気になる本を見かけました。良質なビジネス書を出版することで定評ある、ダイヤモンド社からのビジネススキル本です。

こういうテクニック本って、買ってみたものの、たいしたことはなかったな……ということが往々にしてあるのですが、これは僕にとっては抜群のエナジーブックでした。読みながら、「うぉぉーっ! そういうことだったのかあ!」とパワーがみなぎってきたのです。

冒頭で書いた「サクサクと書ける原稿と、時間が掛かる原稿がある」に関してですが、これは僕にとっての謎でした。一体なぜなんだ? そもそも苦手なジャンルなのか? そう思っていたのですが、そうではなかったようです。

そもそも準備が不足しているから書いている途中で止まってしまう、ということが、この本を読んで明確になりました。

10倍速く書ける 超スピード文章術

何の準備もなくパソコンに向かい、いきなりスラスラと文章を書けるライターはほとんどいないでしょう。自分の日常や想いを書くコラムであっても、「このテーマで書こう」「オチはこうしよう」など、ある程度のイメージは必要です。

でも、それだと準備不足なのです。たとえば、パッとひらめいたことをTwitterに投稿するのであれば、140文字程度は書き切れますが、数百文字〜数千文字となるとそうはいきません。書く前の準備が必要なのです。

本書「10倍速く書ける 超スピード文章術」では、準備の重要性を説いています。準備さえ出来ていれば、悩まず一気に書き切れるのです。

(1)目的と読者を決める

読書する男性

まずすべきことは、目的と読者を明らかにすること。著者の上阪徹さんは、素材集めや原稿を書いているときは、その書類の上段に、目的と読者を書いているそうです。

本書に書かれている事例を紹介しますと、たとえば「交通安全」というテーマで記事を書くことになったとします。これでは、何を書こうか迷っているうちに相当な時間が取られる上に、テーマが漠然としていてとっかかりがありません。そこで、目的と読者を定めるのです。

  • 目的:交通事故防止
  • 読者:高齢者

こうすることで、書くべき内容と集めるべき素材が具体的になります。また、書いている途中で、「あれ、何を伝えたいんだっけ?」と、迷うこともありません。

(2)すぐ素材集めに取り掛かる

コレクター

〆切に余裕がある場合でも、「書くことが決まった瞬間から、素材探しをスタートさせましょう」と、上阪徹さんは言います。

今すぐにですよ、今すぐに。

素材は、その記事に関することは何でも集めます。

インタビューの場合は、その人が発する言葉は当然のことですが、それ以外にも素材はあります。その場の内装や家具であったり、服装であったり、香りであったり、出会った人であったり……。五感を使って、様々な素材を集めるのです。

取材でない場合は、連想ゲームが有効です。たとえば、最近僕がよく書いている「パパの子育て」の記事であれば、妻との関係、家事の分担、オムツ換えが苦手なパパが多い、パパは身体を使った遊びは得意、夫婦喧嘩の原因、部屋の間取り、おいしかった朝食、休日の過ごし方、知り合ったパパ友、保育園の保育士さんからの育児アドバイス……など、思いつくままに素材を集めて行きます。その上で、それらをグループ分けするのです。現在と過去、平日と休日、妻と子供など。そうすることで、記事のテーマを決めたり、文章の構成がしやすくなったりします。

素材集めは、何もパソコンの前にいるときばかりではありません。歩いているときや、電車に乗っているときなど、ふとしたときに閃くことがあります。そうした素材を、どんどんメモして行くのです。

上阪徹さんは、メールの下書き機能を使って素材をどんどんメモしているそうです。これはEvernoteなどのクラウド管理できるメモ帳でも良さそうですね。

(3)人に説明するように、素材を組み立てる

ブロックを組み立てる子供

素材を準備したら、今度はそれを並べ替えます。

ここで大切なのは、すぐに原稿執筆に取り掛からないということ。集めた素材をグループ分けなどして整理し、それを組み立てておくのです。そうしておかないと、書いている途中に素材が足りないことに気づいて、書くスピードを落としてしまう可能性があるからです。

組み立て方は、目の前に読者がいるとイメージして、「その相手にしゃべって伝えるにはどの順番が良いか」を考えます。そうすることで、スラスラと理解できる文章になるということです。

書き出しは、惹きつけるように。終わりは、読後感を損なわないように。

(4)一気に書き上げる

原稿が好調に進んでいる男性

いよいよ書きはじめます。ここでのポイントは「最後まで止まらずに書き切る」「途中で、さっき何を書いたっけ? と後戻りしない」ということです。

途中で何度も止まったり、読み返したりする方は多いでしょう。僕はまさにその典型です。上阪徹さんは、分からない箇所や調べたい数字が出てきても、とりあえず「○」「☆」などの記号を入れて、書き切ることを優先するそうです。

また、原稿に文字数が指定されている場合もあるでしょう。その場合でも気にせずに書き切ります。多く書いても、後で削れば良いのです。

(5)寝かせて、推敲

眠っている男性

原稿は、推敲(すいこう)という文章を見直す作業があります。入稿前に推敲を重ねて、原稿を仕上げるのです。

このとき、「文章を寝かせてから推敲するのが大切だ」と上阪徹さんは言います。なぜなら、初めて読む人の視点が得られるからです。自分が書いた文章を客観的に読むことで、読みやすさや表現方法に違和感が無いかどうかに気づくことができます。

寝かす期間は、できれば1日。時間がない場合は、トイレに行ったり、コーヒーを買いに行ったりして、物理的な距離を置くのが有効とのこと。

推敲時のチェックポイントは、読みやすさとわかりやすさ。専門用語が多かったり、一文が長かったりすると、読者に伝わりにくくなります。何も知らない読者でもわかるかどうか、という視点で確認しましょう。

文字数の調整は終盤に行い、最後は誤字脱字だけをチェックする、とういうのが上阪徹さんのスタイルだそうです。ちなみに、具体的な文字数調整方法やケース別の速筆術は、本書後半にたっぷり書かれています。

超スピード文章術は、私生活でも活かすことができる!

本書は、超スピード文章術とはありますが、この手法は他でも活用できそうです。

「書くことが決まったら、すぐに素材集めをする」というのを、原稿以外にも応用するのです。たとえば、会社のプロジェクト、転職、引っ越し、家族旅行、週末の予定、恋人や友人へのプレゼント、など。

転職であれば、「仕事を辞めたいな」と思い立ったときから、素材集めを行うのです。ぼんやりと思っているだけでなく、他社の情報であったり、世間のトレンドであったり、転職のメリット・デメリットであったり、起業を検討してみたり。それらをどんどんメモして行き、グループ分けしてみれば、自分のやりたいことや、自分の強み、自分に足りないことが可視化されます。

日頃から素材集めをしていると、いざチャンスが来た時に、あれこれ悩まずに素早い行動が取れる、という訳です。

超スピード文章術は、ライターとしてのスキルだけではなく、自分の人生を豊かにしてくれる指南書とも言えそうです。本当に素晴らしい本に出会えました。

 

上阪徹さんの書籍とキンドル本

最後に余談。
僕はこれまで、ブックライターの上阪徹さんと、コピーライターの川上徹也さんがごっちゃになっていました。書店で同一人物だと思って、本を物色していたのです。本書を読み終えて、「他の著書も読みたいな」と思い、Amazonで検索して違う人だと気づきました。

そして、新たに上阪徹さんの本を2冊、昨夜キンドル版で購入しました。

  • 〆切仕事術
  • 「聞き方」を変えればあなたの仕事はうまくいく

今週は上阪徹さんウィークです。思考と仕事術を学ばせていただきます!