定額制音楽聴き放題が、CDやダウンロード販売を上回る! そろそろ「Apple Musicで聞いてね」と告知しても良いのでは?

定額制音楽聴き放題が、CDやダウンロード販売を上回る! そろそろ「Apple Musicで聞いてね」と告知しても良いのでは?

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新曲のシングルや新作アルバムがリリースされた時、「Apple Music(*1)にラインナップされていますよ。聴き放題なので、みなさん何度も聴いてくださいね!」という風に、積極的に告知している、音楽アーティストやレコード会社をあまり見たことがありません。

音楽の販売方法は、主に3つに分かれます。「Apple Musicなどの聴き放題サービス」「iTunes Storeなどのダウンロード」「CD、レコードなどの物的商品」。

聴き放題を告知しない理由は、もっとも利幅が低いからなんでしょうね。

*1. 月額定額制(サブスクリプション)の音楽聴き放題サービス。他に、LINE MUSIC、AWA、Amazon Musicなどがある。

2015年、アメリカでは聴き放題サービスがもっとも利益をあげる。

テクノロジー系のニュースを伝えるTHE BRIDGEに、アメリカの音楽ビジネス事情に関する、こんな記事が掲載されていました。


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アメリカレコード協会(RIAA)の報告によれば、ストリーミング音楽サービスは、定額課金制のサブスクリプションや広告配信サービスによる収益を合わせると、米国の音楽業界が昨年上げた収益の34.3パーセントを占め、ダウンロードによる収益の比率34パーセントをわずかに追い越した。CDやレコードなどの物的商品による収益は28.8パーセントとのこと。

米国でストリーミング音楽の収益が、ダウンロードを初めて超える:THE BRIDGEより一部引用


 

もっとも収益(利益)を上げているのが、なんと聴き放題サービスなんだそうです! いずれも30%前後と僅差ではありますが、数年前までほぼゼロだった分野が急成長しているのです。

音楽収益(利益)の割合円グラフ

どうやって儲ける? レコード会社やアーティストの利益。

音楽聴き放題サービス(ストリーミング配信)の代表格、Apple Musicの価格は、月額980円。最大6人まで家族で使えるファミリーメンバーシップは月額1,480円。

……定額制ですよね。

iTunes Storeは、売れれば売れるほど売上があがりますよね。1曲250円の曲が10曲売れれば2,500円、20曲だと5,000円。

……Apple Musicは、いくら聞いても値段は変わらない定額制ですよね。

この仕組みを超ザックリ言えば、ユーザーから徴収した月額利用料からAppleの取り分を引いて、その残りを再生回数を元にみんなで分け合う方式なんです。ですので、収益は青天井というわけではなく、全体のパイは決まっています。もちろん会員数が増えれば、そのパイは大きく膨らみますが。

これについての詳しい分配率や金額は明らかにされていません。

ちなみにAppleは、「Apple Musicの3ヶ月間のお試し無料期間中は、レコード会社に1ストリーミング再生あたり0.4円を支払う」と言っていたようです。また、以前NHKのクローズアップ現代で「アーティストの利益は1再生あたり0.16円」と言っていました。レコード会社からアーティストへの分配金がこれくらいということでしょう。このあたりが目安になりそうですね。

音楽アーティストが得る収入は、1再生あたり0.16円。クローズアップ現代「配信ビジネスで問われる創作の価値」を見て。

音楽の販売だけで食べていけないと言われて久しい。

少し脱線しますが、僕が大阪から東京に上京してきた2006年頃の話をします。

この頃、日本の音楽業界は、ちょっとしたバブル状態でした。CDの売上が主軸で、それに付随して、ガラケー向けの「着メロ」「着うた」が大ヒットしてたのです。まるで竹の子が次々生えるように、数多くの着メロ・うたサイトがぐんぐん立ち上がりました。

僕は音楽メディアに関わる仕事をしていましたが、広告枠はいつも空き待ちの取り合いだったのです。それだけリリース量が多く、そして音楽が売れていたからです。

しかしあろうことか、僕が上京した2006年頃をピークに、楽曲そのものの売上が減少してゆきます。その理由については、違法ダウンロードとか、YouTubeで無料で聴けるとか、インターネットの高速化とか、不況になったとか、いろいろ言われていますが、まぁ様々な要因が重なったのでしょう。常に右肩あがりのビジネスなんてありません。山があれば、谷もあります。

ここ数年は、すっかり「楽曲販売だけでは食べていけなくなった」と、ささやかれるようになりました。そんななか、「曲・アルバム販売では儲けを考えず、ライブ、公式グッズ、企業コラボなどで利益を出そう」と、考え方が変わって行ったのです。そのため、アーティストとレコード会社という関係ではなく、アーティストを総括的にマネジメントできる敏腕マネージャーやマネジメント会社の存在が高まりました。

そろそろ「Apple Musicで聞いてね!」と言ってもいいのではないか。

誰が言ったわけでもないですが、なんとなく遠慮している「Apple Musicで聴いてね!」「何度も聴いてるよ〜!」というやりとり。そろそろ解禁しても良いのではないでしょうか。

ユーザーの利便性を考えれば、

  • CDをパソコンに取り込まなくて良い
  • ダウンロード購入でスマホの容量を圧迫しない
  • わざわざ購入しなくても良い

というのは、すごいメリットだと思うのです。このお客様目線(ユーザーの利便性)を最重要ポジションに持ってきて、そこから利益を生み出す方法を模索してゆくべきではないでしょうか。

でないと、だんだんジリ貧になってしまうのでは……と不安になってしまいます。

最後に、僕の音楽好きの知人は、Apple Musicを巨大な試聴機と呼んでいます。Apple Musicでお気に入りのアルバムに出会えたら、CDやレコードを買っているそうです。CDやレコードには手触りや、歌詞カードなどがありますしね。

みんながみんな、この通りではありませんが、まずは曲を知ってもらって、そこから多方に広がる魅力あるビジネスを展開するのがイマドキなのかなと思います。

「Apple Music良いですよね。あれで聴いてから買いに行くんです」「……えっ、買う!?」