写真につける文章。見ればわかるはずの写真に言葉って必要? パシフィコ横浜で開催「CP+2013」会場にて。

写真につける文章。見ればわかるはずの写真に言葉って必要? パシフィコ横浜で開催「CP+2013」会場にて。

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「写真と文章」。見ればわかるはずの写真に言葉は必要?CP+2013会場にて。

カメラと写真映像の総合イベント「CP+ 2013」カメラと写真映像の総合イベント「CP+ 2013」へ行って来ました。会場はパシフィコ横浜。96社が出展するカメラの大型展示会です。

最新の機材やトレンドは、カメラやIT系の専門サイトで見て頂くとして、ここでは面白い体験をしたトークイベントを紹介します。「なるほど!」と思ったお話です。

 

「写真」には「文章」が必要。見ればわかるのに、何故?

写真家、渡部さとるさん

本トークショーの主役は1961年生まれの写真家、渡部さとるさん。「写真と文章」というタイトルで約1時間半のお話がありました。

2007年、渡部さんが海外のフォト・フェスティバルに出展した際、現地の外国人から「なぜこれを撮ったんだ?Why? Why? Why?」と、そんな質問ばかりを受けたんだそうです。

当時、英語が苦手という事もあったそうなのですが、とにかく答えられない。ショックを受けての帰国となったそうです。

かつて写真はグラフジャーナリズムと呼ばれ、何が写っているかが大切。報道のための写真が主流だったんだそうです。それが1970年頃より「写真は特別なものを写さなくても良いんだ」という発想が生まれ、それが現代にも続いているとの事。芸術としての写真です。

現代アートは理解不能で難しい。でも気持ちいい瞬間は…?

説明を聞くなどして「あっ、なるほど!」と思えた瞬間が、一番気持ちいいんだそうです。なぜなら、それは腑に落ちたから。

これは全くの同感です。自分もつい先日、「何故こんな人がいるんだ!自分は、そんな人の生きざまを垣間みるのが好きだ」と書いたところです。

現代の写真は、フィニッシュラインだけのクオリティーだけはなく、そこに至る思考の過程なども求められるんだそうです。作品だけでは不足、の場合があるという事です。

「What?(何)」ではなく「Why?(なぜ)」。

写真家、渡部さとるさん話は前後しますが、渡部さんが海外で経験した「これは何?」ではなく、「なぜこれを撮ったのか?」ばかりの質問。

渡部さんは、帰国後それらを英語で説明できるよう徹底的に取り組んだそうです。

作品のWhyを説明する為には、自分のこれまでの人生を振り返る必要が出て来ます。どんな個展を開いたとか、どんな写真集を出したとか。渡部さんは「I was ….」の文章を延々に書き出しました。幼い頃のことや、両親のことまで。

そして、それらの島(エピソード)と島をつなぐと、「何故、自分はその写真を選んだのか」が、ハッキリする。そして、それらの膨大な文章を抜粋すれば、作品の内容や背景を伝える「ステートメント」が出来るんだそうです。

日本語より英語。

たとえば、日本語で「あれ」といえば、個人なのか全体なのか、意味合いをぼんやりさせる事が可能です。それが奥ゆかしい日本語の良いところなのですが、英語で書けば、主語や対象をハッキリさせないといけない。

作品のステートメントは詩的な文章ではなく、できるだけ論理的に書く必要があると、渡部さんは言います。ですので、ステートメントの英語化を勧めています。もちろん、海外へ進出するには英語化は必要なのですが、それだけでは無いという事です。

理解してもらう、気持ちよくなってもらう。

僕の文章の書き方(ステイトメント)対象物をしっかり撮れたかが大切だった報道目的の写真から進化して、アート作品として写真を披露する場合、それに付帯する文章の大切さが理解できました。

講義自体は約1時間半ありましたので、実際の構成は「カメラと写真の歴史」「ステートメントの具体的な書き方」など、もっともっと深い話がありました。

最後になりますが、自分は芸術やカメラに関しては素人です。しかし、わからないなりにも美術館などで個展を見るのは好きです。それは渡部さんが言っておられた、「何故?」から「なるほど!」の過程が気持ちいいからだと、お話を聞いて腹落ちさせられました。たまたま遭遇する事ができたトークショーですが、カメラの新作展示より印象深く面白かったです。


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<最後にひとこと>
自分は、本格的な一眼レフカメラは持っていません。しかし、最近ものすごく欲しいです。店頭、カタログ、雑誌、本、インターネット、そして今回のような展示会。調べれば調べるほど、奥が深くて何を購入すべきか悩みますね。

しかも、今回初めてカメラの歴史の話も聞くことができ、本当に勉強になりました。1839年代の写真誕生からデジタル時代への突入。カメラって撮るだけはでなく、こうやって歴史や機材を知るだけでもかなり楽しいですね!