ネット界の毒舌者、hagex、やまもといちろうがLIGブログを斬る! LIGの心意気に驚き。


彼を知り、己を知れば、百戦殆(あや)うからず。


 

これは、紀元前500年頃、今からおよそ2,500年前に書かれた中国の兵法書「孫子」にある名言です。意味は、「敵(相手)のことをよく知り、さらに自分のこともよく知れば、100回戦っても負けることはない」という意味です。

これをウェブメディアにたとえると、「最新のITトレンドを常に把握し、さらに自分が運営するサイトのGoogle アナリティクス(アクセス解析)をしっかりと見極めれば、決して他のサイトに負けることはない」という意味でしょうか。

いいえ、そうではありません。

トレンドを知れば市場に対しての戦略が組めますし、アナリティクスをじっくりと見ればサイトに訪れるユーザーの動向が把握できます。しかし、そこには「心」がありません。データの解析から得られるのは推測でしかないのです。

孫氏の教えに従うのであれば、これだけでは「不足」ということになります。

オウンドメディアの雄、LIGブログが「良薬口に苦し」戦略!

己のことを知るのに、自問自答では知れる情報に限界はあります。

たとえば、自分で「俺はずっとスポーツをやってきた。特技は身体を動かすことだ。体育会系だからな」と思っていても、他人から見れば「チームをまとめる力がすごいよね。ぜひウチの会社の上司になって欲しい」という場合もあります。第三者の視点を加えて、ようやく己を知れることになるのです。

そんななか、「オウンドメディア」を掲げて日本のウェブメディア界を牽引してきた、東京・上野にある株式会社LIG(リグ)が、己を知るために、とんでもない苦い薬を飲み始めたのです。

その苦い薬とは、ウェブシーン・ビジネスシーンを石川五右ェ門の斬鉄剣がごとくズバッと切り裂く、ネットウォッチャーの「hagex(ハゲックス)氏」と、投資家でブロガーの「やまもといちろう氏」。彼らに「自分たちをダメ出ししてくれ」と依頼したのです。

良薬どころか、もしかしたら毒を飲むことになるかもしれない……。

そんな両名は、LIGブログをズバズバと切り裂きました。ひとつひとつの記事への具体的なダメ出しから、社内体制の悪い部分まで、完膚なきまでにバッシング。これまで頑張って積み上げてきたLIGのメンバーにとっては、まさに身を切られる思い。そんな覚悟で挑む「良薬口に苦し(毒かも知れない)戦略」です。

■関連リンク:LIG

 

ふつうは晒さない「己の弱み」。
しかし、それを自ら公開するLIGの心意気。

Hagex氏、やまもといちろう氏の記事を読んで感じたのは、まるで経営コンサルタント。第三者目線でしっかりと診察しています。そして、コンサルを受けた企業は、それを今後の戦略に活かすことができるのです。

ふつう、そのレポートは対外的に公開しません。

なぜなら、自分たちの強みも弱みも暴露する訳ですから。
ライバルに知れると大変です。

LIGさんは、以前より毎月LIGブログのアクセス解析を詳細に公開しています。要は、自分たちを毎月丸裸にしているのです。僕がLIGさんの「心意気」を感じる部分はココです。この《もったいぶらないスピリッツ》は、昔も今も一貫して変わりません。

僕が感じるLIGブログの良い部分・悪い部分。

勝手に便乗してスンマセン。

僕がLIGさんと関わりをもったのは、2013年の4月。現在、LIGの執行役員・人事部長である寺倉 そめひこ氏が入社されて数日の頃でした。以来、僕はLIGさんの外注フリーライターとして、途切れることなく2年半以上のお付き合いを続けさせていただいています。

 


■Swingin’ Thinkin’ 関連リンクごうさん、そめひこさん、紳さん。


 

LIGブログのこれまでを振り返って、僕が「面白いなぁ!」と感じたのは、これらの記事です。

  • LIGブログ初代広報のジェイ氏が「じゃあな」と颯爽に退社。
  • 以前のメディア事業部・部長の竹内紳也氏の秒速結婚。
  • LIGブログ2代目広報、ひろゆき氏の記事全般。
  • LIGブログ前編集長、朽木誠一郎氏のウェブメディアの分析・対策論。
  • 世界一即戦力な男・菊池良氏の記事全般。

朽木君以外は、すべて熱量のこもった(あえて冷めた)面白さが特徴。朽木君は、さすが元医学部だけあって、持ち前の勉強熱心さがあり、真面目な記事ですが分析・対策論系の記事が大変勉強になりました。

そして、LIGブログの「いまひとつだなぁ」と感じる部分は、これらの部分です。

  • SEOを意識しすぎた記事が多いからか、「今じゃなくてもいいや」と、段々とLIGブログを購読する習慣が抜けしまう。
  • 社内の人事異動が多すぎて、せっかく愛着が湧いてきたキャラ(社員)がどんどん変わって行き、LIGブログへの愛情が定着しずらい。

この2点です。かつては「LIGブログは見逃せないなぁ!」と思っていたのが、段々とfeedlyにRSSを登録していてもスルーしがちになっていたのです。あと、TwitterのLIG公式アカウントはおよそ1万5,000人もフォロワー数がいるにもかかわらず、サイト更新のお知らせのツイートに対する「リツイート」や「お気に入り」がかなり少ない。僕と同じように、気にはなっているけど「あとでいいや」になってしまっている方、結構多いのではないでしょうか。

(LIGさん、偉そうにスンマセン!)

エッジを磨くと丸くなる。

以前、LIGブログからは「エッジが効いてるなぁ(尖っているなぁ)!」と、ビシバシ感じていました。しかし最近は、エッジを感じる機会が減ってきているように思います。

LIGブログに限らず、何事も洗練されると、全体としてのクオリティーはあがります。しかし、同時に尖っていたエッジも丸くなってしまうのではないでしょうか。

僕が長らく所属するレゲエ業界に関しても、同じような現象は起きています。まだレゲエが日本であまり知られていない頃は、ジャマイカのアーティストから影響を受けた日本人アーティスト達が、日本でレゲエを広めようとしていました。めちゃくちゃ尖っていました。

しかし段々と、彼ら日本人アーティストから影響を受けた、新たな日本人アーティストがではじめたのです。すると、ジャマイカのレゲエとは別にジャパレゲとし区別されるようになりました。クオリティーは格段にあがり、日本の総合ヒットチャートにも食い込むようにもなりました。

レゲエファンが日本に増えてとても喜ばしいことではあるのですが、反面エッジが削られてきたように感じます。もちろん全てのアーティストがそうという訳でもありませんし、どちらが良いというものでもありませんが。

角を取って大衆をターゲットにするか、コアファンを狙って尖ってゆくか。

このへんは難しい判断ですね。話が少し脱線しましたが、LIGさんが取り組まれた心意気感じる戦略からの、今後の展開を楽しみにしています! 第3弾は誰なんだろ……?