「お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ 生き残りの法則50」有吉弘行（双葉社）
「イライラするのに面白い！」：☆☆☆☆☆
お笑い芸人、有吉弘行の書籍「お前なんかもう死んでいる 〜プロ一発屋に学ぶ 生き残りの法則50〜」をiPhoneアプリで読みました。これがトンデモ処世術！
これまで僕は『正しい行いこそが第一。お金はあとから付いて来る』といった小宮一慶さんの著書に感銘を受けて来ました。しかし有吉の考えは完全に真逆。あまりの180度逆っぷりが逆に笑えて来て、気持ち良いほどでした。
とにかく金、金、金！
「金は使った方がまわって来る、は嘘。使ったら減る」「とにかく目の前の金を自分のものにする事だけ考える」「儲けても使わない、おごらない」「おごってくれる先輩を選ぶ」など。
とにかく「腹立つわ〜」と思いながらも、何故だか面白い。
有吉がかつて猿岩石でブレイクした当時、月収2,000万円だったそうです。それが一転して、給料ゼロのどん底生活に。「3日目までは空腹だけど、4日目からは胃が痛くなる」と、一切食えない苦しさをリアルの経験する程に落ちぶれ、自殺を考えるまでに。そんな底辺から抜け出せない生活が何年も続き、ようやく転機が訪れ、チャンスを次々自分のものに。今や、有吉をテレビで見ない日がないほどの人気芸人に！
大復活劇が、ある意味ディズニー映画。
金持ち → 超貧乏 → 軌跡の復活！
これって、ディズニー映画っぽくないですか。
王子が魔女に魔法をかけられ野獣に。しかし美女と恋を実らせ見事復活！ ニモやWALL-Eなんかも似たような感じですよね。超不幸から幸せへの振り幅。
有吉弘行の人生は、見事ディズニー映画の定石にハマっています。
ただし、全然美しくないストーリーなんです。性格が悪過ぎてイライラしてきます。(笑)
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孫氏の兵法「戦わずして勝つ」
有吉は「決して一番を目指さない」と言います。R-1グランプリで優勝したいとか、他のお笑いタレントと競いたいとか全然思わないんだそうです。それより、アイドル番組なんかに出て、その中では一番面白いという立ち位置。お山の大将、村で一番が幸せだと言います。
「自分を下に下に、小物にみせるのが大事」。
有吉はライバルに勝つも負けるも、そもそも戦っていないんです。これって、今もなお読み継がれる中国古代の武将、孫子（そんし）が教える究極の戦法にも当てはまっていたのです。
机上の空論ではなく、有吉の実体験。
性格悪いし、毒づくし、名著とは程度遠い気がしたのですが、結局一気に読んでしまいました。実体験を赤裸々に語ったリアルストーリーなので、ついつい引き込まれてしまうんです。
芸能人は俺様主義というか、自分をより良く魅せる方が多い印象ですが、有吉は全く俺様ではありません。俺なんて、俺なんて…とへりくだり、下から毒づく。(笑)
甘えて生きるサラリーマンに警鐘！
結局、本書は何を伝えたいのかというと、「ザマアミロ！ 一億総芸能人時代がやってきたぞ」いうメッセージです。
来る日も来る日も、仕事がない恐怖。当然ギャラがないので、収入もゼロ。ちょっとずつ給料が上がって行くサラリーマンには無縁だと思われていた、芸能人のような安定しない収入生活が、サラリーマンにも押し寄せて来てるんじゃないか、と。
「自分は一生この会社にいれば安泰なんだ」とか、「35年ローンで家買っても平気なんだ」とか、「老後の安心なんだ」とか、そういう計算してるから、給料下がったとか、ボーナス出ないとかっていうだけでも大騒ぎするんだよって思うんですよね。
（中略）
やっとサラリーマンも僕ら芸人並のレベルまで落ちてきたなと思います。これからいよいよ “国民総芸能人時代” です。「いつ仕事がなくなって給料ゼロになってもおかしくない」っていう時代です。
諦めたほうがいいかも知れません。何をやっても無駄かもしれません。この本は、夢や希望、明るい未来を期待しているヤツらに現実を見せてやる本です。
本書「はじめに」より一部引用
お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ「生き残りの法則５０」 (双葉文庫)
双葉社 (2012-04-12)
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＜最後にひとこと＞
決してネガティブな本じゃないのでご安心を。app storeでは、現在100円で販売されていました。2〜3時間でグイグイ読めますよ。面白いのでぜひ！
